今回はお役立ち情報をご紹介したい。

ソフトな語り口で業界の裏事情をサラっと書いてしまうブログ『「ニットキッチン」元社長の奮闘記』で、2015年度ネットショップ売上ランキングが紹介されていた。

http://ameblo.jp/knitkitchen/entry-12182062748.html

ネットショップに対する期待、過信、妄信、杞憂、恐れなどが業界内には渦巻いているが、実際のところの売上高を見るというのは、のぼせ上がった頭を冷やすには効果的である。

元資料は「日本ネット経済新聞」のものだそうだが、1位から444位までがランキングされている。
400とか450とか500とかきりの良い数字ではなく、なぜ444という半端な数字なのか理由は不明だ。

1位はアマゾンで7400億円だ。
2位アスクル
3位ヨドバシカメラ

と続くが、2位のアスクルで2000億円弱、3位のヨドバシカメラで1000億円だから、1位のアマゾンが独走状態にあるといえる。

さてアパレル業界でのトップはどこかというとここでもユニクロである。
320億円強の売上高である。

ユニクロがトップということは、業界で騒がれている〇〇とか××とかは、320億円以下の売上高しかないということである。
いかにアパレル業界は狭い世界で騒いでいるかがよくわかる。

百貨店だと三越伊勢丹と高島屋がほぼ同額でトップ。
三越伊勢丹が114億円、高島屋が113億円で、どちらも前年からそれぞれ20%増、13%増となっており、好調といえる。
まあ、まだ始めたばかりなのでこれから改良次第で伸びは見込める段階であり、飽和状態とか限界点に達するにはまだまだである。

ネットショップで買い物をしたことがないのではないかと疑われる某ベテランコンサルタントは高島屋のオムニ戦略をべた褒めしていたが、EC業界の人間にいわせると高島屋のオムニ戦略なんてまるでチャチだという。
同じ商品ならアマゾンや楽天で買ったほうが種類も豊富だしレスポンスも早い。割引率だってそちらのほうが高い場合もあるという状態なので今後の改善が待たれるところだ。

この何か月か百貨店の幹部と接触した感触でいうと、彼らはやっぱり基本的にネット販売をあまり深くは理解していないのではないかと感じる。
自身がネットで買い物をしたことがあるかどうかもあやしいと推測する。

こういう人たちだけではまともなネット通販事業は不可能ではないかと思う。
外部の専門家と契約するのが成功への近道だろう。あとは外部の専門家を選ぶ目を養うことだ。
外部の専門家といってもピンキリだし、詐欺師みたいな人もいる。
そのあたりをどう見極めるかである。

オンワード樫山が86億円、バロックリミテッドが80億円である。

オンワード樫山という巨大アパレルがたった86億円しか売れていないところにこの会社のネット戦略の弱さが証明されている。

肌着のピーチジョンが55億円でウサギオンラインと同額。
このあたりもネットの面白いところで良くも悪くも知名度の高いピーチジョンと、一般的にはまるで知名度が低いウサギオンラインが同額である。

実店舗での知名度とネットでの売上高は正比例しない場合があるということである。

三陽商会は33億円弱。ここもネットに弱い。

ずっと下がると322位に8億5000万円でショーイチがある。
これは以前にも紹介したバッタ屋であり、バッタ屋でランクインしているのはここぐらいなので快挙といえる。

さらに下ると332位に7億9700万円でレナウンがいる。
ここも極端にネットに弱いという証明である。腐っても知名度が高いレナウンなのにバッタ屋以下の売上高しかない。

ざっとこんなところである。

ネット通販市場全体では2014年度ですでに12兆円強あると野村総研が発表しており、これが2021年度には倍増以上の25兆円になる見通しだそうだ。

百貨店、アパレルが衰退基調に突入している中で、ネット通販市場はこれから倍増するという明るい見通しだということである。それはもちろん、実店舗の売上高を食ってネットが成長するということなのだが。

こういう市場動向から、「ネット通販こそ活路」と目を光らせる後追い業者が続出している。
繊維産地の製造加工業もその一員であり、大阪・本町や東京・馬喰町あたりに蝟集する零細アパレルもその一員である。

まあ、たしかに成長市場なので希望はある。
しかし、すでに楽天だけで4万店の出店がある。
ヤフーなら40万店だ。
この2つだけでも44万店のショップがネット上に存在することになるのに、無名の零細アパレルや産地企業が作ったポッと出のネットショップなんてどうやって消費者に選ばれるつもりだろうか?

明らかにネットの海に埋没する。

これが超有名ブランドなら話は別だ。
わざわざそのブランド名で検索してネットショップまでたどり着いてくれるだろう。
しかし、ポッと出のブランドはブランド名すら知られていないのである。検索する手段すらないのと同じだ。

これでどうして、「ネットショップを出せばすぐにでも何千万円も売れる」なんて甘い考えを抱けるのか理解不能である。

2008年~11年くらいまで中国の好景気に沸いた時期があった。
その当時、この手の業者は「中国なら売れる」なんてことを平然と言っていたが、中国人の気質や商習慣、現地マーケティングの何も知らないくせに「よくそんな甘い考えで暮らせる」とあきれ果てたものである。今のネットへの進出もそれと同じニオイがする。
今回も敗北のニオイがプンプンしている。

レナウンほどの知名度があっても7億9700万円しか売れていない。

零細アパレルや産地企業は自分たちがレナウン以上の知名度があると思っているのだろうか?
もちろん、ウサギオンラインやショーイチのように知名度が低くくても売上高が稼げている企業もあるが、それは早くからネットに特化して事業化しているからである。
集客のノウハウを十分に蓄えており、これから進出する無名ブランドとは比べ物にならない。

ネット通販はそれほどの激戦地だと知ったうえで取り組む必要がある。

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石山 芳和
秀和システム
2016-06-25




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