MENU

南充浩 オフィシャルブログ

早くも秋冬のルックスを提案するジーユー

2016年7月14日 トレンド 0

 夏のバーゲンセールの真っ最中である。

今年は6月半ばから下旬にかけて各テナントが五月雨式にバーゲンを開始し、その後、6月末から7月1日くらいでほとんどの商業施設がバーゲンを開始した。

当然だが各ブランドとも今春夏物を売り切るために、店頭はバーゲン品一色である。
それはそれで正しいやり方で、バーゲン気分を盛り上げて、1枚でも多く在庫処分を行うことは理解できる。

筆者のような安い物好きの人間は「お!70%オフだから覗いてみようか」ということになる。
だから効果がまったくないわけではない。

そんな中で秋冬のルックスをいち早く見せているブランドがある。
ジーユーである。

ジーユーの成長が近年目覚ましい。
売上高は1500億円を越える。

ジーユーの店舗内を見てみると、他のブランドと変わらずバーゲンセールの投げ売り品があふれている。
グラフィックの柄によってはプリントTシャツが390円にまで値下がりしている。
筆者が覗いた店舗で390円に値下がりしていたのは仮面ライダーのプリントTシャツがほとんどだったから買う気もなかったが。

秋冬の一発目のルックスは黒を中心にしたモノトーンだそうだ。
実際にジーユーのメルマガやアプリでも盛んに発信されている。

IMG_1459

IMG_1462

梅雨が明けていないにもかかわらず、最高気温35度前後の猛暑が続いている中で、ユニクロもジーユーも秋物の新作の一部が店頭投入されている。
ユニクロのシーズン先取りはもう20年以上前から続いている体質で、ジーユーもそれを引き継いでいるといえる。
とはいえ、ユニクロが年がら年中ウルトラライトダウンを店頭に並べるのはどうかと思うが。

そういえば、シャネルは毎年梅雨時期にすでに秋冬のルックスをショーウインドーに飾る。
見ているだけで暑苦しい。

普段、モノヅクリガーとかファッションガーと言っている方々の展開されているブランドやショップ、ご贔屓のブランドやショップはどうだろうか?
「〇〇%オフ」のPOPばかりが掲げられているのではないか?
少なくとも目にした範囲で、早々と秋冬のルックスをまとめて提案しているのはラグジュアリーブランドとジーユーくらいしかない。

売れ筋追求も重要だが、ファッションブランドは元来、「提案」も重要なはずである。
売れ筋追求で他社製品のコピペのみであるなら、本来は独立ブランドである必要もない。
コピペ元ブランドのフランチャイズ店でもやっていれば良いのである。

仮にも嘘でもブランドを名乗るからには、次シーズンへのファッション提案が必要だろう。
提案すべきことがないならわざわざブランドなんて作らなければ良い。

ジーユーのモノトーンが当たるか外れるかはわからない。
個人的には今さら、黒のカツラギ素材のGジャンなんて着たいとは思わない。
似合わないからね。(笑)

それでもファッションルックスの提案をいち早くやってしまうジーユーは、そこらへんの生半可なコピペブランドよりファッションブランドだと感じる。
名前ばかり先行していて、実際は売れ筋の写真をOEM/ODM会社に送りつけて企画生産を丸投げしているそこら辺のアパレルよりもファッションブランドだといえる。

そりゃ、そこら辺のアパレルブランドが凋落して、ユニクロ・ジーユーが躍進するはずである。

いまだに「ユニクロは実用品、俺たちはファッション用品」「ジーユーは低価格実用品、俺たちは高感度ファッション」なんて自称しているブランドは多いが、そのジーユーがファッション提案をやっていて、自称高感度ファッションが、投げ売り品を売りさばくことに汲々としている実情は、まるで笑えないコントのようである。
自分たちの実像を鏡で見たことがあるのだろうか。

筆者にはファッションに対する信念なんてない。
お買い得品が投げ売られていればそれで消費者としては満足である。
何ならバッタ屋で買っても構わない。

今、自称ファッションブランドがやっていることはこういう筆者のような客を呼び込む作業である。
それに気づいているのか?

25年くらい前は、各ファッションブランドがいち早くシーズン先取りのファッションを提案していた。
クソ暑いのにウインドーにはセーターやらコートを着たマネキンがディスプレイされていた。
「見ただけで暑苦しさが倍増するわ」と言いながら、それはそれでやっぱり少しは次シーズンへの期待も感じた。
あの当時はそこら辺の一般アパレルブランドだって独自のルックスを企画提案していた。

2005年を越えたあたりからだろうか、大手も含めた国内アパレルブランドの提案が画一的になったのは。
結局、過度の売れ筋追求とそれを実現するためのコピペ合戦がそういう状況を生んだのだといえる。

そんなブランドをやっていながら高感度ファッションを自称していて恥ずかしくないのか。
筆者が竹野内豊を自称するようなものである。

最もファッションブランド的な姿勢を見せているのがジーユーというのが、現在の業界を象徴していると思った。

ジーユーではこれまで服を買ったことがなかったが、夏のバーゲンで値引きされているTシャツでも買ってみようかな。



Yokoのプチプラブランド案内
yoko
KADOKAWA/メディアファクトリー
2015-05-22


この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ