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南充浩 オフィシャルブログ

製造業者は下請法を活用すべき

2011年4月26日 未分類 0

 アパレルのファミリーセールという催しがある。
自社が企画・製造しているブランドの商品を安く販売するイベントである。
だいたい夏と冬のセール時期に合わせて、2日間か3日間開催される。

通常は自社の企画・製造しているブランド品だけのことが多いが、
近年は他社と合同で開催されるケースもある。

例えば、甲社は「A」というブランドのメンズを企画製造しているが、
乙社は同じ「A」というブランドのレディースを企画製造しているとする。
そうすると甲社と乙社が合同で「A」というブランドのメンズ、レディースのファミリーセールを行う。
これにはメンズとレディースに限らず、メンズと靴下、メンズと肌着、レディースとバッグ、レディースと帽子などなど様々なバリエーションがある。

通常、かなりの処分価格品がある一方で、メーカーによっては店頭のバーゲンの方が安い場合もあるので、その辺りの見極めも重要になる。

ファミリーセールに行くと、ときどき、先に挙げたような「合同販売」とは到底思えない商品が販売されていることがある。例えば、甲社のブランドの中に、ぜんぜん協力関係にない丙社のブランドのポロシャツだけが並べられている。しかも販売価格は格安の投げ売り価格である。
こういうケースは、丙社に頼まれて、甲社が請負生産したものの何らかの理由で丙社が商品を引き取らなかった場合が多い。
そのため、やむなく甲社はファミリーセールで投げ売りして少しでも現金化しようとしているのであろう。
実際に、「あれ?なんでこのブランドが関係のない甲社のファミリーセールで、しかも500円で投げ売りされているの?」という場面を何度か見たことがある。

この場合、丙社の指図とは大幅に異なる商品を甲社が生産していたのなら、甲社の責任であるが、誤差の範囲内で製造しているにも関わらず、丙社が引き取りを拒否した場合、下請法に抵触する可能性が極めて高い。
誤差の範囲内というのは、袖丈が1センチくらいしか違わなかったような場合である。

http://www.jftc.go.jp/sitauke/index.html

そして、丙社が上場企業であれば、丙社の責任はさらに重いものとなる。
甲社が公正取引委員会に訴えればほぼ確実に丙社は負ける。

この甲社がアパレルである場合もあるし、製造工場である場合もある。OEM業者である場合もある。
付き合いの範囲内で我慢できるのであればわざわざ事を荒立てる必要はないが、明らかに不当返品である場合には、下請法違反の疑いで公正取引委員会に訴えることをお薦めしたい。

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