6月3日にあべのキューズモールにジーユーがオープンした。
オープン当日から現在に至るまで連日、店内は満員である。
平日の昼間でも満員だからその人気ぶりに驚かされる。

通路の対面にある某大手アパレルブランドの店内が閑散としているのとは対照的である。

例えば百貨店内に出店するようなブランドやいわゆる高級専門店と言われるようなブランドは、自らを「ファッションブランド」と自称し、ジーユーを含めた低価格ブランドを「日用品」と勝手に区別している。
その割にはその「日用品」ゾーンが売れるとなると、百貨店ブランドは低価格ブランドを作ってGMSへテナント出店しているから、そのダブルスタンダードぶりには驚くほかない。

彼らは「この日用品風情がッ」と見下しながら、そのゾーンに向かって商品を企画製造しているのだろうか?
だから百貨店アパレルの低価格ブランドは売れていないのではないか。
逆にしまむらの野中社長の発言に見られるように、低価格ブランドが百貨店ブランドのシェアを奪おうと虎視眈々と狙っており、その積極的な「的を射た」仕掛けは百貨店アパレルなど遠く及ぶところではない。

それはさておき。

低価格ブランドの商品が安い理由は、さまざまあるがここでは繰り返さない。
1週間で100万~200万円をコンスタントに売る某腕利き販売員はこう指摘する。

http://ameblo.jp/ryohei-yotsumoto/entry-12167129531.html

そう、商品を極力安くお客さんに提供する為に

販売員が接客をするサービス代を排除しているからです。

とのことだが、これは一理ある。

セルフのガソリンスタンドやセルフ形式のうどん屋が安いのと同じ理屈である。

某ラグジュアリーブランドみたいにドアマンが立っているわけでもないし、入店しても「いらっしゃませ」「こんにちは」程度の声掛けはあるが、それ以上は付きまとわない。
ただし、商品について質問をすると、割合に的確に答えてくれる。
ユニクロやらジーユーやら無印良品やらGAPやらで販売員の答えに対して、イラっとしたことはほとんどない。

逆に「ファッション面」したセレクトショップやSPAブランドの販売員のほうが質が低くてイラっとすることが多い。

昔、某有名セレクトショップでジーンズの値段を見ていた。
筆者は必ず値段から入る。
このセレクトショップの自主企画ジーンズは定価でもあまり高くない。
だいたい6000~8000円程度なので、バーゲンで半額になったらいつも買おうかどうしようか迷うのだが、最終的にはエドウインとかユニクロの値下がり品を買うというのが筆者の消費行動である。

そうしたら販売員がおもむろに背後から声をかけてきた。
「それデニム生地でできているんですよ」と。
30歳前後の男性だったと記憶している。

いや、見たらわかるからそれ。

そのデニム生地がウンチク満載ならともかく、どう見ても定番で1メートルあたり700円くらいのデニム生地である。

あいまいな返事をしてそそくさと店を出た。

また別のSPAブランド店では、値下がりしたズボンの値札を見ていた。
常に値札から見るのである。

すると背後から
「サイズはおいくつですか?」と、これは20代の若い女性販売員だった。

いや、値札を見ただけの人間にいきなりサイズを尋ねてどうするのか?
この声掛けではほとんど成果は上がらないだろうと思う。

いきなりサイズを尋ねられてもねえ。

こういうイライラがユニクロやジーユー、GAPにはない。
筆者は別に人間と無駄話がしたくて店に行くのではない。
頓珍漢な声掛けならやめてもらいたい。

だから「ファッション面」したセレクトショップやSPAブランド店は嫌いなのである。
買い物を極力しないようにしている。

20代の販売員がこの手の接客をするなら経験不足だから納得できるが、30代以降でこんな販売員は本当に将来性を感じられない。彼らの代わりに自動販売機を設置したほうが店の売上高は上がる。

前置きが長くなったが、ジーユーの連日の満員にあきれ果てたのだが、それでも対面の大手アパレルの低価格ブランドと比べると人気が高い理由も理解できる。

価格が圧倒的に安いというところが大きい。
ユニクロの投げ売り品くらいの定価設定となっている。
それでいて、トレンドが反映されている。

あまり指摘されていないが、商品説明のPOPがつけられているところも大きいのではないか。

低価格ブランドが接客をしないのは経営母体を問わず共通している。
いささか逆説的だが、洋服は説明なしではなかなか売りづらい商品である。
ユニクロもそうだが、ジーユーもPOPでそこを補っている。というより、ユニクロの手法を取り入れている。

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そういうものが何もなく、「Tシャツ1900円」「ジーンズ3900円」という商品名と価格だけのPOPが付けられている低価格ブランドと比べれば効力は一目瞭然だろう。

アパレルブランドはいまだにこういう「商品名と価格だけ」のPOPでヨシとしているところが多くて遅れている。
遅れているから売上高が下がって苦戦しているのである。

「Tシャツ1900円」なんていうPOPを見て、「欲しい」と思ったり「なるほど」と思う客がどれほどいるのか。
仮に商品名と価格だけのPOPで効果があるとするなら、その価格が驚くほど安い場合だけである。
「Tシャツ100円」みたいな。

販売員にくどくどしい接客をさせないがPOPで「説明しよう」という意思を見せるユニクロ、ジーユーと、「Tシャツ1900円」という謎のPOPだけを掲げて、「百貨店ブランドのエッセンスを少し垂らしてやったぜ、かっこいいだろ?」みたいな売り場作りをしているブランドのどちらを客は評価するだろうか。
圧倒的に前者だろう。それが業績にも反映されているのではないか。

低価格ブランドだから接客はできないというのはその通りだが、それでも「説明しよう」とするユニクロ、ジーユーの姿勢を、売れ行き不振で苦しんでいる「ファッション面」したアパレルはもっと見習うべきではないか。