少し前に年商10億円を突破した在庫処分屋(バッタ屋)のことを紹介した。

企業活動にはウェブサイトが必須
http://minamimitsuhiro.info/archives/4615943.html

である。

先方から実名で書いても良いという許可が下りたのでもう少し詳しく書いてみたい。
衣料品ビジネスを行う人たちにとって何らかのヒントがあると思うからだ。

この会社はお気づきの方もおられるが、ショーイチという会社である。

http://shoichi.co.jp/

ここの山本昌一社長と知り合ったのは6年くらい前だったと記憶している。
知り合った当時はまだ30歳を少し越えたばかりだったが、すでにバッタ屋のキャリアが10年を越えていた。
「業界最年少のバッタ屋です」とおっしゃっていたことを思い出す。
この当時は売上高が3億円とか5億円とかおっしゃっていたので、6年間で売上高は倍以上になったということになる。

今回、許可を下す代わりに顔写真も載せてほしいと言われた。
おお、なんという目立ちたがり屋ポジティブシンキング。

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(なぜか満面の笑みの山本昌一社長)

年商10億円を越えたのは2014年7月期のことだったという。
以前にも書いた通りだが、通常のアパレルブランドでさえ卸売り型では、新規に立ち上げても年商10億円に達するのは至難の業と言われる状況下である。
通常の卸売り型アパレルよりはるかに地味でアンダーグランドなバッタ屋で年商10億円を越えるのは並大抵ではない。

2016年7月期には11億~12億円の年商を見込んでいるという。
その内訳は、バッタ屋としての売上高が9億円強。
衣料品のOEM事業が1億円前後、そしてオリジナルレディースブランド「マーサ」の売上高が1億円強となる。

マーサ http://martha00.com/ 

ここ以外にも何社かバッタ屋との交流があるが、衣料品のOEM生産もさることながら、オリジナルブランドを展開しているバッタ屋はない。
その手広さはバッタ屋としては異例といえる。
現在の全国的なチェーン店の中にも出自が在庫処分品の格安販売だった企業があるが、そこはその出自から抜け出せず近年は苦戦が続いている。

出自から抜け出して新規事業を立ち上げるのは全国チェーンの資本力をもってしてもなかなか難しいということの事例であろう。

複数の販路を持っているところも特徴ではないか。
自社EC、他社EC、自社直営店舗、他社店舗のほか、一部に海外販路もある。

多くのバッタ屋が自社店舗と一部の仲間売りしか販路を持っていないことと比べるとかなり有利だといえる。
もちろん複数の販路は自動的に獲得できたわけではなく、企業努力で作ったものなのだが。

そして前回書いたことと重複するが、最大のポイントはウェブへの取り組みではないかと感じる。
通常のバッタ屋で自社の概要を書いたウェブサイトを持っているところは少ない。
ここには自社の概要を書いたウェブサイトがきちんと作られている。
見てもらえばわかるがそこらへんの産地企業よりも分かりやすいウェブサイトである。

以前に書いた通り、現在、ビジネスでも消費行動でも何かを調べたいと思った時、人はまずウェブ検索を行う。

「ウェブなんて」と言ってるオッサン本人が出かける場合、電車の乗り換えやホテルの空室状況をウェブ検索して調べているのである。
自分がウェブ検索を多用するのに、どうして自社はウェブ検索されないと考えてしまうのだろうか。まったく理解できない思考である。

競合他社がウェブサイトを持っていないため、ウェブ検索しても引っかからないところに、ウェブサイトを開設しているのだから検索では圧倒的に表示されやすい。
そのためウェブを通じての問い合わせも増える。

そしてウェブサイトに対して理解が深いから、自社でインターネット通販サイトを開設できる。

実店舗が営業時間に縛られることに対して、インターネット通販は特別な場合を除いては24時間365日稼働している。早朝や深夜でも買い物することができるし、盆と正月の長期休暇中でも買い物することが可能だ。

すでに楽天で4万店、Yahooショッピングで40万店の出店があり、ウェブ通販を開設したからといってすぐさま売れる状況ではなくなっている。
しかし、ウェブサイトを持つのと持たないのとでは結果において雲泥の差があり、持っていないと「今後売れるようになる」という可能性すらなくなってしまう。

それとショーイチの特徴は、多事業化・多販路化だろう。
これについては賛否両論あると思うが、一つの事業・販路に集中することなく、ある程度分散化させている。
衣料品に限らず、現在、一つの事業・販路で売り上げを積み重ねるのが非常に難しい状況である。

衣料品分野で、新規に卸売りブランドを立ち上げた場合、3億~5億円の売上高が限界だといわれている。
それを突破するためには莫大な資金力といろんな意味での政治力が必要になるが、この2つを手に入れることはなかなか難しい。
それを手に入れずにビジネスを拡大するには事業・販路の分散化は一つの有効な手段だといえる。

中には、ブランドイメージを守るために在庫は投げ売りせずに廃棄するブランドもあると聞く。
しかしそれができるブランドは少数派(資金面から考えても)であり、廃棄するにしてもお金がかかる。
昨今の衣料品消費不振で、各社が生産調整しているとはいえ、在庫が発生する。
廃棄してなおかつ金まで取られるなら、在庫を投げ売って幾ばくかの現金に変える方が効率的だとも考えられる。

ショーイチに限らず在庫処分屋のニーズはまだまだ増えるのではないかと見ているが、どうだろうか。