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南充浩 オフィシャルブログ

「美味しくて安い店」は繁盛しやすい

2016年3月14日 考察 0

 筆者は基本的にグルメではないし、あまり食にはこだわらない。
食材の好き嫌いはある(生卵が絶対に嫌いなど)が、とくに美味しい物を食べたいとはあまり思わない。
店にもあまりこだわらない。
何なら1週間すべての昼食が290円の牛丼でも構わない。
まあ、そんな程度の人間である。
ただし味覚は平均レベルはあると思っているので、美味いか不味いかくらいは判断できるが、そこにこだわりたいという意欲がほとんどない。

先日、あるアパレルの役員にフランス風にアレンジしたおでん屋に連れてもらった。
狭い店だが、水曜日の夕方6時すぎだというのに満員という人気ぶりだった。
味は好みの問題だが、美味しい方だと思う。
1皿あたりの値段はそんなに高くない。200円弱~700円くらいまでだ。
なぜそんなに人気なのかというと、そこそこに美味しくて値段が激安ではないにしろそこそこに安いからだ。

アパレル業界の人は飲食にこだわりを持つ人が多い。
さまざまなややこしい要因は排除するが、基本的に「美味しくて安い店」は繁盛しやすい。
そしてアパレル業界にもそういう店が好きな人は多いし、そういう店を評価する人も多い。
例えば「安くて美味しい店があるんですよ。ぜひ行ってみてください」なんて情報をもらうことは多い。

ところが、そういう人でも自分の属する衣料品業界のことになると、「美味しくて安い店」を評価しないことが多い。
「あんな安物は偽物」とか「安い物はすべて悪」とかそういうことを言う。
日本だけじゃなくて外国にもそういう人はいるみたいで、そういうキャンペーン映画まで作られている。
映画の話は置いておいて、どうして飲食店で評価できる基準が、自分の属する業界だと評価できないのか不思議でならない。
飲食物と衣料品の違いは様々ある。
飲食は「消え物」だが、衣料品は一度購入すると何年間も持つ。
だから飲食は同じ人が毎日購入、購買するが、衣料品だと同じアイテムを毎日購入する必要がない。

そういう違いはあるが、「美味しくて安い店」が好まれるという事実は飲食も衣料品も変わらない。
衣料品になるとなぜその事実が受け入れられないのか。
その事実を受け入れないことには次に進めないのではないか。
もしくは「美味しくて安い店」に対抗できる効果的な手段を思いつかないのではないか。
そう思う。

「安物は絶対悪」というような半ば宗教的、半ば感情論丸出しのキャンペーンを無理やりぶち上げるよりは、自身のブランドを高く売るためにどうすれば良いかを考えた方が、効果的だし効率的だろう。

「美味しくて安い店」は繁盛しやすい。
この事実を踏まえた上で、自身のブランドを「低価格ブランドよりも高い値段で売るためにはどうすれば良いか」「自身が望む利益額を得るためにどう売れば良いか」を考えるべきだと思う。

低価格ブランドは製造工賃を不当に安くしているという人も多いが、国内の名の通った「安くない」ブランドも不当に安い工賃設定やら不当返品を行っている場合もある。
どちらの方がより悪どいかと問われたら筆者は後者だと答える。

大繁盛する「美味しくて安い店」の中でそんなことを感じた。





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