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南充浩 オフィシャルブログ

ボブソンが再々スタート。ただし成功は容易ではなさそう

2016年3月11日 速報 0

 昨日、こんなニュースが上がった。
なかなか思い切ったことをしたと思う。

ボブソンが「ウェア ボブソン」としてリスタート、ファーストシーズンはデザイナーにSISE松井征心起用
http://www.fashionsnap.com/news/2016-03-10/wear-bobson/

1971年創業のデニムブランド「ボブソン(Bobson)」が「ウェア ボブソン(WHEIR Bobson)」として生まれ変わる。ファーストシーズンとなる2016-17年秋冬コレクションは、デザイナーに「シセ(SISE)」の松井征心、加工監修にドクターデニムホンザワの本澤裕治を起用。デザイン性とボブソンならではのクオリティを両立させた新ブランドとして出発する。

とある。

倒産からの再スタートしたボブソンだが、従来型のジーンズメーカーとしてはそれほど大きな売上高にはならなかった。
販路もそれほど増えなかった。

それを踏まえての再々スタートで、商品内容をガラリと変えたのだろう。

このニュースだけで先行きを占うことは難しい。
販路も商品価格も売上高目標も現時点では皆目わからないからだ。
ただ、発表された商品写真を見ると、販路はジーンズ関連ではなく、いわゆるファッショナブル路線を目指すのではないかと思われる。
価格も高価格帯になるだろう。
ジーンズも1万円前後ではなくなるのではないか。

起用したデザイナーの経歴からしても、大手総合アパレルと同等の路線ではなく、デザイナーズブランドに近い方向性を模索しているのではないかと推測される。

個人的な意見である。
ビジネスマンでもバイヤーでもデベロッパーでもない外野としては、面白い試みだとは思う。
ジーンズブランドからデザイナーズブランドテイストのトータル化に成功した例は国内にはない。
成功すれば稀有な例として一つのモデルになるだろう。

その一方で、この路線で成功するのはかなり難しいのではないかと思う。
過去に成功した例がないということは、成功できない理由がいくつも隠されているのだと思う。
従来の社内スタッフではこの路線を営業、販売することは無理である。
人間の能力はそんなに多様でない。ジーンズ畑の多くの営業、販売にとってこの路線は苦手分野である。
ということは、また新たな営業、販売のスタッフが必要になる。
正攻法でそれを確保するならけっこうなコストがかかる。

商品価格と売上高目標も気になる。

このテイストで高価格なら市場規模はそれほど大きくない。
必然的に売上高目標も小さくならざるを得ない。
このテイストでジーンズの価格が2万円を越えるようだと、売上高は5億円~10億円が限界ではないか。
よほどの「何か」がないと20億円とか50億円にまで成長することは難しい。

そこを経営者が理解しているのかどうか。
記事では不明だし、筆者は面識がないから類推することはできない。

しかし、現在の状況下において、従来型のジーンズブランドとして復活することもまた難しい。

ナショナルブランド(NB)としてはエドウインとリーバイスで十分である。
再スタートしたボブソンが目指した低価格~中価格帯もSPAブランドや、NBが凋落してから伸張した量販店系メーカーで十分である。

ならば高価格帯という選択肢もあるが、高額プレミアムジーンズブームは過ぎているし、そのゾーンにはアメリカやヨーロッパからのインポートブランドやビンテージ系ブランドが根強いファンを獲得している。

今回の路線変更はこうしたことを踏まえたものだと考えられる。

けれども、意地の悪い見方をすると、トータルファッション路線はジーンズ分野以上に競合が多い。
今回発表した商品群で低価格はあり得ないから考慮はしないが、たとえばファッションビルや百貨店に出店している国内アパレルとの競合は、ジーンズ分野での競合以上に厳しい。
それらアパレルは販促、告知にも以前よりは減ったとはいえ、ふんだんに費用を投入している。
後発ブランドがそれと伍することは難航することが予想される。

また欧米資本のラグジュアリー系ブランドはさらに難敵である。

そう考えると、ボブソンの新路線も苦戦が予想される。

販路、価格帯、売上高目標、社内陣容が明らかになり、筆者の苦戦予想が覆ることを期待したい。




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