昨年秋冬、ユニクロの既存店売上高が前年割れを2か月連続で起きたことがあった。
要因はさまざま考えられるが、その一つに「値上げ」があるのではないかと言われた。
それに対してユニクロ側は「値上げの影響はさほどない」という内容の答えを返したと記憶している。

しかし、今春物のメンズの商品の値段を見ていると、どうもユニクロ側はコメントとは反対に、商品価格を元に戻そうとしているのではないかと感じられる。

今回は、店頭のメンズ商品の値段を見ての感想であるのでご了承ねがいたい。

ちょうど1年くらい前に、値下がりしたコットンカシミヤケーブルセーターを2枚買った。
ライトグレー無地と赤無地である。たしか1990円に値下がりしたのを買ったはずだ。

で、今回も値下がりした昨年秋投入のコットンカシミヤケーブルセーターを買ってみた。
組成は変わらず綿95%・カシミヤ5%である。
生地を触ってみた感触は昨年春に購入した物より固いと感じる。
おそらく糸の番手や目付を変えたのだと思う。

今回は白×紺である。
値下がり価格は1990円。
元値は3490円である。

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↓ 値下げシールをはがしてみると

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ところが、最近、店頭に入荷した今春のコットンカシミヤケーブルセーターの定価は2990円である。
定価が500円値下がりしている。
原材料費や人件費、工場の工賃、為替などさまざまな要因があるし、これまでも1品番や2品番くらいは500~1000円の下がったり上がったりがあった。

ところが売り場を見渡すと、昨秋よりも定価が安くなっている商品、入荷時より価格を「新価格」と称して引き下げた商品が何品番もあることに気が付いた。
体感ではこれまでのシーズンよりも多いと感じる。

例えば4990円のジーンズは発見できなくなっていて、ジーンズ類はメイドインUSAジーンズを除いて3990円までで統一されている。

メイドインUSAジーンズは7990円から「新価格」の5990円に値下げされている。
いつもの赤い値下げシールを貼らずにだ。

また綿の布帛パーカも定価4990円が「新価格」として3990円に値下がりしている。
スリムストレートストレッチチノパンも「新価格」2990円である。
夏の定番アイテム、6990円のリネンコットンジャケットが早くも「新価格」5990円である。

このほか、綿・アクリル混のケーブルクルーセーターとアゼセーターも2990円から1990円に値下がりしている。

こうして見ると、ユニクロ側は成長の鈍化の理由の一つとして、コメントとは反対に「値上がりの影響がある」と考えているのではないかと感じられる。

個人的な感想でいうなら、ユニクロの商品がいくら「値段の割に品質が良い」と言っても、ナショナルブランド(NB)と同等かそれを越える水準になるとやはり抵抗感がある。
ジーンズでいうならユニクロで7990円払うなら、エドウインの8000円の商品の方が良いと思ってしまう。

ウルトラライトダウンに7990円や6990円を払うなら、NBのダウンジャケットをバーゲン時に半額で買った方が良いのではないかと感じてしまう。

以前、量販店向けのカジュアルボトムスメーカーに勤務していた友人はこう話していた。
「GMSの店頭でジーンズ類は、1900~3900円が中心。4900円になるとどんなに物が良くてもグッと販売本数が下がる。5900円はほとんど動かない」と。

筆者も含めて、多くの人のユニクロのボトムスに対する見方もこれと同じではないかと思う。

4900円くらいまでなら買うが、5900円になるとNBやNBの値下がり商品を買った方が良いと。
その他アイテムもこれに類した見方をされているのではないか。

かつての大ヒットアイテム、保温肌着のヒートテックだが、今では低価格商品群の中では価格が高い部類に位置している。
ユニクロに安さを求めていた人は、他社製品を買うケースが増えているのではないか。

ユニクロが単価を上げようとする動きはビジネス上では間違ってはいないが、なかなか一朝一夕に上げられるものではない。
低価格から出発したブランドが中価格帯に移行するのはかなり難しい。
強引に移行すればそれまでの客が離れてしまう。移行したところで新しい客層が獲得できる保証はない。
下手をすると、新しい客を獲得できないまま、今までの客も離れてしまう可能性がある。

しかし、低価格を支持する客層は、筆者のような「低価格品が好きな人」が多く含まれており、良い客層とはいえない。

ユニクロほどの大資本をもってしてもこのあたりの調整には苦労していると、今春の店頭を見て感じてしまう。