昨年11月、12月とユニクロの既存店売上高が減少した。
これをもって盛んに「ユニクロ失速」という記事がメディアに掲載されたが、今年1月はセールが好調で既存店売上高が伸びた。すると、その手の記事はほとんど掲載されなくなった。
まあ、メディアなんていつも現金なものである。

個人的にいえば、ユニクロの前年実績は好調だったからそれを越えるというのはかなり高いハードルだと思うし、国内市場でいうと飽和点に達しつつあるのではないかと考えられるから、成長曲線が鈍化もしくは少しくらい下落しても不思議ではない。

そういえば飛ぶ鳥を落とす勢いだったソフトバンクだが携帯電話の加入者が前年実績を割り込んでいる。
いつまでも無限成長し続ける企業はないということである。

一方、ライトオンは11月、12月と好調だったからユニクロ失速の一例として挙げられることが増えた。
しかし、結論からいうとライトオンはそれまで前年実績を下回り続けており、前年実績のハードルは非常に低かった。

これを非常に上手く見つけた記事を発見した。
良記事なのでぜひとも参考にしていただきたい。

別の視点から数字を見る
http://www.apalog.com/fashion_soroban/archive/20

この記事は2011年秋冬、2012年春夏を基準として、それに対しての既存店売上高、既存店客数、既存店客単価の推移を再構成しているところが秀逸である。

これをまとめなおすのはけっこう骨が折れる。
かなりの労作といえる。
自分でもやれば良いのだが、こんなにめんどくさいことはちょっとやる気になれない。
本当に素晴らしい資料だと思う。

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この表から見ればわかるように、「失速」と喧伝されているユニクロだが、2011年から比べると2015秋冬は8%増の売上高である。
また、2012年以降はすべて基準年実績を上回っている。

ただし客数は2015年秋冬は初めて減少している。
反対に客単価は2015春夏、2015秋冬とそれぞれ上昇している。
値上げが顕著に反映されていると考えられる。

一方、メディアで持ち上げられ過ぎの嫌いがあるライトオンだが、2013秋冬から一貫して既存店売上高が減少し続けている。

記事内でも指摘されているように2015秋冬の「好調」は単に2011年当時水準まで回復しただけということがわかる。

客単価は2012年から一貫して上昇傾向だが、客数は落ち続けている。
好調と言われた2015年秋冬も客数は減ったままである。

ついでにユナイテッドアローズである。
ユナイテッドアローズは2012年以降、一貫して既存店売上高は伸び続けているが、客数は2014年から減少し続けている。
客単価は2014年、2015年と続けて高い伸び率を示している。
これは相当に値上げがあったと考えるべきだろう。

個人的な感想でいうと、値上げしたから客数が減ったのかもしれず、反対に客数減を値上げで補ったともいえるだろう。
ユナイテッドアローズの値上げ路線はこれ以上進むとさらなる客数定価を招くので危険ではないだろうか。
ユナイテッドアローズが街の個店なら「お好きにどうぞ」というところだが、仮にも上場しているので、そういう奇策は株主の反発を招く。
客数は落とさず売上高も伸ばし続けるというかなりきわどいミッションをこなし続けなければならない。

この記事でも触れられているのだが、客数を伸ばすというのは本当に困難なことになりつつあるといえる。
決算で発表される客数とは「買い上げ客数」のことだから、入店客数ではない。
「洋服を買ってもらう」ことがかなり困難なことになりつつあるということである。

洋服を買わない理由はいろいろとある。
以前にも書いたことがある。

トレンドがあまり変わらない、洋服があまり傷まない、次々と新しい服を着ることに興味がない、可処分所得が減った、などなど。

メディアではよく、現在を指して「ファッションは冬の時代」というが、冬というのは待っていれば春が来る。
しかし、現在もこれからも「待っている」だけではファッションに春は来ない。むしろ今が常態ではないか。
だから冬の時代ではない。

そこを踏まえて考える必要がある。