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南充浩 オフィシャルブログ

東京開催にこだわるのは東京人の思い上がりでは?

2011年4月12日 未分類 1

 昨日で東日本大震災から1カ月が経過した。
3月下旬に開催予定だったジャパンファッションウィーク(JFW)は中止になったが、今週からアパレルブランドやデザイナーズブランドの展示会や合同展が東京で開催されている。

それはそれで復興に向けて大変喜ばしいことだが、余震はまだまだ続いている。
昨日は震度6、震度5の大きな地震が2回あり被害が出た。また震度3程度の余震は東北、関東と毎日のように続いている。
今朝の「めざましテレビ」によると、1ヶ月間にマグにニュード5以上の余震はなんと400回あったという。
また福島原発もいまだに沈静化しておらず、日々放射性物質の拡散が報告されている。
1カ月が経過しても今回の震災と二次被害はいまだに継続中だ。

さて、中止になったJFWと併催予定だった合同展示会がいくつかあり、それらが今週以降に東京で開催される。JFWもそうだったが、合同展示会の集客目的として「海外バイヤー、海外プレス」と言うものが少なからず含まれている。海外来場者の集客は大きな命題の一つである。

4月に東京で開催される某合同展示会に出展をする関西拠点デザイナーと雑談をした。
デザイナーには現在、香港の取り引き先がある。デザイナー氏はこの香港の取り引き先を東京の合同展示会に案内することを断念した。理由はいまだに余震が毎日続いており、放射性物質の心配も一向に収束する気配もないからだ。
この香港の先によると、香港では地震は何年かに一度起こる程度で、直近だとスマトラ沖地震のときに少し揺れた程度であるらしい。震度1程度でも怖いという。
デザイナー氏は「震度1程度でも怖がっている海外の方を、震度3が毎日のようにある東京には招待できない」との決断を下した。

また放射性物質もその被害や症状がいくら情報を調べても諸説ありすぎてはっきりとわからない。とくに海外の方は「日本全土が放射性物質で汚染されている」(事実とは異なるが)と思っている。

このデザイナー氏は主催者に「今回特例措置として名古屋や京阪神で開催することはできないですか?」と尋ねたところ「東京以外の選択肢はありえないっしょ」と半笑いで返されたという。
海外からの集客を考えれば、今回は名古屋以西で開催する方がよほど効果がある。また地方客を呼ぶのにも効果があるだろう。子連れで展示会を廻るような地方小規模店のオーナーバイヤーなら関東以北に行くことには抵抗がある。

批判を覚悟で言うのなら、この状況下で「東京以外ありえないっしょ」という考え方は、東京人の思い上がりではないかと思う。集客が目的であるなら主催者はその効果が上がる場所で開催すべきである。平時なら東京がその最適地であるが、今回、地方・海外客の誘致を考えるのなら名古屋以西でする方がよほど効果がある。地方・海外客は東京に行くことを明らかに「リスク」と考えている。

先日、計画停電の打ち切りが発表された。ひとまず安心であるが、電力供給量は回復していないため東京圏は、今後も節電を続けなくてはならない。電力供給量を考慮するなら、大手企業の本社機能や東京圏の中小町工場を名古屋以西に暫定的(1年~2年間)に早急に分散移転させることが必要だと言われている。とくに繊維・アパレル業は名古屋以西、京阪神出身の大手企業が多い。本社もいまだに残っている。「東京でなければ」という思い込みは速やかに捨て去るべきだ。

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 comment
  • heartail より: 2011/04/18(月) 8:25 PM

    >この状況下で「東京以外ありえないっしょ」という考え方は、東京人の思い上がりではないかと思う。
    主催者側がそんな返答をしたのなら、思い上がり以前に未熟としか言いようがない。
    イベント案内は早くから期日を明記して広報しているし、間際になって会場を遠方へ移動できるものでもない。そういう意味で「今更東京以外での開催はあり得ない」という意味なら理解できるが、そうだとしても言い方には問題がある。
    そして、イベント主催者のこの対応ひとつで「東京人」の思い上がりなどと称されては、東京人としては非常に不快です。

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