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南充浩 オフィシャルブログ

他力本願な商店街は淘汰されるのみ

2015年12月16日 考察 0

 例外はあるにしても多くの商店街とそこに店を構える個人商店にはやる気も変革する気も感じられない。
次代の趨勢によって淘汰されるのは当然のことだと常々思っている。

商店街活性化みたいな取り組みが全国であるが、ほとんどが単なるノスタルジーの発露ではないかと感じる。

昨今は東京、大阪、京都は中国人の爆買いで潤っているが、先日、こんな記事が掲載された。

こんなはずでは!中国人爆買いでも潤わない地元経済
ドンキ、イオンが大賑わいの一方で地元商店街は・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45522?display=b

まあ、タイトルを読むと内容がすべてわかるのだがその通りの内容である。

結果は地元の期待通りにはならなかった。今、現地で聞かれるのは「これでよかったのか」という声だ。

「これでは“中央の企業”に搾り取られるだけだ」

 こう語るのは地元の商店や中小企業の若手経営者たちである。

 彼らが「中央の企業」と呼ぶのは、ドン・キホーテやイオンなどのナショナルチェーンのこと。訪日観光客がこうした量販店に向かうのは、大手メーカーの炊飯器や粉ミルクを買うためである。地元の特産品や土産品を買うためではない。

 また、次のような声も聞かれる。

「鹿児島の中心部にせっかく天文館という繁華街があるのに、観光客はあまり訪れません。天文館にある老舗デパート『山形屋』も素通りされてしまいます」

とあるが、極めて当たり前ではないかと思う。
逆に何の工夫もなく、爆買いのおこぼれに預かれると思っていた方が甘い。

これと似たような報道を過去にも何度か目にしたことがある。

例えば、東京スカイツリーである。
オープン景気で地元の個人経営の飲食店やら小規模店が期待していたが、その期待は外れた。

当たり前だろう。

東京スカイツリーには大規模な商業施設「ソラマチ」があるのだから、そこで買い物なり飲食を済ませる。
わざわざその周辺で買い物や飲食をするはずがない。
するとすればよほどソラマチが混雑した場合に限られるだろう。

周辺商店は何の努力もせずに何を期待していたのか。
甘すぎると言わねばならない。

先日のプレミアム商品券でもそうだ。
プレミアム商品券を使う先は、大手の食品スーパーだったり、地域チェーンの食品スーパーだったりする。
個人経営の八百屋・魚屋でわざわざ使うという人はかなりの少数派だ。

極めて当然の結果である。

大手スーパーや地域チェーン店の方が、品揃えが豊富で価格も安い。
だったら普通の人はそちらで買う。

商店主も自分が買い物する時のことを考えてみれば良い。
わざわざ品揃えも豊富でなくて、チェーン店より割高な店で買い物をするだろうか。

電器店でも同じだ。
家電を買うのに、割高で商品数も少ない街の電器屋で買う人がどれほどいるだろうか。
商店主ですら、家電量販店で買っているのではないか。

今回は個人経営の商店主だが、他の業種でも同じだ。
製造加工業者だって同じ考え間違いを常におかしている。

「日本製だから割高でも買うだろう」

どうしてそんな風に無邪気に考えられるのだろうか。不思議でならない。

実際にそういう製造加工業者だって、「ラルフローレンの本物のシャツが2000円」で売られていたらそちらを買うだろう。
リーバイスのジーンズが3900円に値下がりしていたらそちらを買うだろう。

商店街の商店主の多くは自分も消費者だということを完全に忘れている。
そして消費者になった際の自分の行動を完全に忘れて日々の業務をこなしている。
だからこんなアホみたいな考え違いをするのである。

近年はショッピングセンター内テナントでもなんでもある総合店よりも得意アイテムに特化した専門店チェーンに注目が集まっていると言われるが、だからといって、商店街の個人商店に注目が集まっているというわけではない。
商店街の個人商店は、消費者に選ばれるために何をしているのだろうか?

チラシやDMを定期的に発送しているのだろうか?
店の内装や品揃えを工夫しているのだろうか?
ブログやSNSで顧客と関係性を強化しているのだろうか?
独自のサービスを考案しているのだろうか?

格差はあるものの、各チェーン店は少なくともそこらへんの商店街の個人商店よりはこれらの努力をしている。
資本力で差がついていて、その上で日々の販促の努力でも差がついたなら、その差は最早挽回不可能である。

中国人の爆買い、東京スカイツリー、プレミアム商品券など、外部要因を当て込んで、何の工夫もなしに期待するような他力本願な個人商店はこれからますます淘汰されるだろう。
そして筆者はそのことに対して極めて当然ではないかと考え、いささかも同情しない。

それにしても何度同じようなことを体験したら気が付くのだろうか。




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