久しぶりにライトオンの業績が好調だ。

ライトオンが好調、経営陣売り場へ
http://www.senken.co.jp/news/corporation/righton20151104/

2015年8月期決算は、久しぶりの増収大幅増益だった。

売上高782億2800万円(対前期比3・1%増)
営業利益23億1400万円(同32・8%増)
経常利益22億8400万円(同38・3%増)
当期利益7億4200万円(同76・1%増)

で、2016年8月期は久しぶりに売上高800億円台の回復を見込んでいる。

また9月度、10月度の売上速報でも既存店売上高と既存店客数が大幅に伸びている。
伸びているというよりは前年までが減少続きだったので回復基調にあると言った方が正しいだろう。

9月度(20日締め)の既存店売上高は対前年同月比12・1%増、既存店客数は7・7%増、既存店客単価は4・1%増。

10月度の既存店売上高は同24・5%増、客数は同23・3%増、客単価は1・0%増。

となっており、急速に客数が回復していることがわかる。

小売店の場合、客数の増減が消費者からの評価のバロメーターであり、それだけ多くの消費者に支持されている、もしくはライトオンから離れた消費者が戻ってきていると考えるべきであろう。

ちなみにライトオンの月次売上速報を見ると、今年2月から既存店客数が増えている。
2月は13・3%増となっており、2月以降はずっと10%増以上を続けている。
反対に昨年9月~今年1月までは常に既存店客数が減り続けていた。
昨年12月は1・8%減と微減で凌いだが、それ以外はすべて10%減以上である。

ここの数字から考慮すると、ライトオンに消費者が戻ってきたのは、今春物の商品が評価されたからといえるのではないか。

筆者は、破格値の投げ売り商品を買う目的から、あべのキューズモールのライトオンを定点観測している。
そしてたまにヨドバシカメラ梅田店のライトオンも覗いて、破格の投げ売り品の有無をチェックする。

筆者の個人的な意見でいうと、一昨年、昨年の2年間、ライトオンで買うべき商品はほとんどなかった。
とくにカジュアルTシャツ類が壊滅的に気に入らなかった。
綿花高騰の影響か円安の影響か、その両方の影響かわからないが、生地が目に見えて薄くなった。
ペラペラのテロテロだった。

そのため、この2年間はライトオンの投げ売りTシャツをほとんど買っていない。
とくに半袖は最悪だと感じた。

ライトオンの資料からは今年2月から業績回復が始まっていると読み取れるのだが、定点観測していて気付いたことがある。

ちょうど今年の春あたりから、あべのキューズモールのライトオンの店外に並べられていた投げ売り専用ハンガーラックがなくなったのである。

店外ハンガーラックはそれまでほぼ常設で、常に破格値の投げ売り品が潤沢に掛けられていたから随分と買った。3年くらい前までは毎月何枚かを必ず買っていた。
なにせ、Tシャツやカジュアルシャツは990円、ジャケット類でも1990~3990円くらいに値下げされているのである。たまに500円に値下げされたTシャツもあった。

これが今春くらいからなくなったのである。
最初は「珍しいこともあるな~」と思っていたが、夏が過ぎ、秋が深まってもこの投げ売りハンガーラックは復活しない。

普通に考えれば、売れ行きが好転して投げ売りしなくてはならないほどの売り残しがなくなったと考えるべきだろう。まさかメーカーに不当返品したり、未引き取りなんてことはしていないだろう。

さて、上で紹介した繊研新聞の記事では、ライトオンのこの数年間にわたる不振の原因について、

ここ数年、売り上げが縮小する中で同社が陥っていたのが「データとトレンド指向」だ。05年にPOS(販売時点情報管理)と毎日配送の物流システムを導入し、データに基づき売れ筋を切らさない体制をいち早く築いた。しかしデータを重視するあまり、ここ数年は前年実績重視となり、その一方でバイヤーはトレンド情報を意識した。「アイテムはベーシックでも、細かなところにデザインや遊びを入れた商品が多くなっていた」(中野聡取締役商品本部長)という。

と説明している。

筆者はライトオンのPOSレジシステムの詳細はわからないが、以前にも書いたように20年前にPOSレジを触っているのでその原理はわかるつもりだ。

値札のバーコードを集計すると、売れ行き枚数のもっとも多い商品は必ずと言って良いほどベーシックな商品なのである。
たとえば黒い丸首のTシャツとか、無地のセーターとかそんな類の商品である。

で、データ通りにそろえるとすごくベーシックな品ぞろえをした店が出来上がる。
はっきり言ってしまえば無印良品の亜流みたいな店になる。

一方、バイヤーはそれなりに商品やらファッションやらが好きな人が多いので、悪い方面にそれが発揮されると、客層と乖離したトレンドアイテムやファッションアイテムを選んでしまう。

ライトオンの客層はそんなにトレンド層は含んでいないから、過度にトレンドを反映した商品だとそれが売れ残ってしまう。そういう物がこれまで投げ売りされて、筆者に買われていたわけだが、そういう仕入れが減ったということだろう。

無印の亜流みたいなベーシック商品群に、バイヤーの趣味に走ったトレンド商品群という品揃えになると、ちょっと売れにくい。そもそもどちらの客層を狙っているのかということになり、店としてのまとまりに欠ける。

筆者は自分の買い物の場合、徹頭徹尾単品アイテムしか見ないので、そういう店も大好きである。
そしてトレンド品が投げ売りされているのはもっと大好きである。

しかし、通常の消費者はそういう買い方をしない。
やっぱり店の全体的な構成とか雰囲気とかイメージもそれなりに重視する。

何枚もタンスに眠っているベーシック商品と、過度なトレンド品しかないのでは客足は離れてしまう。
ライトオンの不振を商品的に考えるならそういうことだろう。

今は筆者の大好きな投げ売り品はないが、多くの消費者に支持され始めているので、方向性としては間違っていないといえる。

さて、今後のライトオンの課題だが、ライトオン以外の屋号の店をどう育てるかである。

ライトオンという屋号で全方向性の客層を取り込むのは無理である。
好転し始めたライトオンだって、ファミリー層とヤング層のどちらを重視するかで常に揺れている。
だったら、たとえばグローバルワークみたいにファミリー層向け店を作る方が良いのではないか。
もしかしたらヤング層向けの店も作っても良いのかもしれない。

しかし、ライトオンはここまで、ライトオン以外の屋号の店を育て切れていない。
メンズビジネスまで視野に入れたソルト&ペッパーは開始早々から人材が離れて、わずか2年で終了している。
フラッシュリポートは何とか続いているが、大きくは伸びていない。
本来はヤング向けだったフラッシュリポートを大きくすれば、ライトオンはファミリー層に特化できるが、そうではないからライトオンが中途半端なスタンスを崩せない。

またテイスト的にもライトオンとフラッシュリポートの区別がつきにくい。

もともと全ブランドの区別がつきにくかったポイントが、紆余曲折の果てに、ブランドごとのテイストを変えることに成功したのとは対照的といえる。
今ではテイスト、価格ともにレイジブルー、ハレ、グローバルワークが区別しやすいが、長い間、区別がつきにくかった。ポイントの自社ブランド集積店「コレクトポイント」が成功しなかった理由はここにあるのではないかと思っている。

多ブランド化という課題を如何にライトオンが克服するかを注目したい。