THE FLAGからのお題として「東コレはお客様と繋がっていくのか」というものが来た。

出題側の「お客様」の定義がはっきりわからないが、仮にこの「お客様」を消費者だと定義する。

これについての私見は、つながっていく可能性はゼロではないというものである。
ただし、今のままではつながる可能性は低いとも思う。

現在、東京コレクション真っ最中である。
ファッションスナップドットコムでも連日、いくつものブランドのコレクションショーが掲載されている。

以前から知っているブランドもあれば初めて見たブランドもある。
改めて「国内にはなんと数多くのブランドがあるものか」と驚かされる。
アパレル業界はそれだけ参入障壁が低いということである。

まず、起業するにも開店するにもデザインするにも資格は要らない。
デザイナーは国家免許制ではないし、開店するに当たっても資格は要らない。
同じブラックと参入障壁の低さということで対比される飲食業でさえ、店を開くためには資格を持った人が一人は必要となる。

その飲食業よりも参入障壁が低い。

飲食店もこの世の中無数にあるが、ファッションブランドも負けず劣らず無数にある。

その無数の中から消費者に認知してもらわねば事業継続は不可能である。
東京コレクション自体も出品ブランドも認知してもらう必要がある。
これができればお客様とつながることは可能だろうし、できなければつながることは不可能である。

知られていないのは存在しないのも同じである。
別に店に限ったことではない。卸売りブランドでも変わらない。

業界内では東京コレクションもその出品ブランドも一定のステイタスとして評価されている。

しかし、実際のところ業界外ではその認知度、知名度は低いし、
下手をするとファッション専門学校生の間でも認知度、知名度はあまり高くない。
実際に、筆者も何度か専門学校での講義の際に、どれくらい東京コレクション出展ブランドについて知っているかを尋ねてみたが、「知らない」と答えた学生は想像するよりも多かった。

これはかなり深刻な事態ではないかと感じる。
動機は別として業界に入りたいと思っている専門学校生があまり注目、認識していないのだから、業界に興味のない人ならばどれほど注目度は低いのかということになる。

理由はさまざまあるだろう。
それは業界内外で活発な議論をすべきだと思う。

個人的にはその理由の一つとして、東コレブランドの販売先が少ないことにあると考えている。

例えばブランド直営店が全国にたくさんあるわけではない。
また仕入れて販売する取扱店もあまり多くない。

東京コレクション常連ブランドでさえも卸売り先店舗が数店舗とか10店舗未満という例が少なくない。

ブランドの洋服そのものを見かけること自体が少ない。
見かけることが少ないと親しみはわかない。

なんだかんだ批判はされてもユニクロがそれなりに売れているのは店舗数の多さによる親しみもあるのではないか。

直営店出店や卸売り先の拡大など、ビジネス面を強化する必要があるのではないか。
しかし、直営店出店なんてデザイナー単独の資金では不可能であり、ある程度の規模の企業か金融のバックアップが必要となる。

ではそれを取り込むための手法、ノウハウ、プレゼンスタイル、ビジネスモデルの構築が東京コレクションブランドに備わっているのかというと答えはノーだ。
一部の例外を除いてはそういう方面に各ブランドとも極端に弱い。

デザイナーには基本的にそういうノウハウはないし、ビジネスに強いパートナーも多くの場合には存在しない。
感性と度胸と愛嬌とで勝負しているデザイナーが多いのが現実である。

プロモーションに力を入れると言ったところで、ファッション雑誌の影響力は衰えているし、「デザイナー物」を扱いたいというファッション雑誌は数少ない。ファッション雑誌の多くは欧米の著名ブランドか国内の大手ブランドの取り扱いに終始している。

ウェブを使ったプロモーションという手もあるが、それとても不十分なブランドが多い。
もちろんウェブサイトは完備しているし、ブログやSNSでの発信もしているだろう。
しかし、それが通り一編の内容の発信ならどうだろうか。情報の海の中に埋没してしまう。

例えば「コレクションショーを〇月〇日〇時からどこそこホールで開催します」みたいな発信だと多くの人の記憶に残らず流れてしまう。

ブログなら特にそういう内容だとわざわざ読みに来てはもらえない。
もっと自身の考えてることや業界への提言やビジネスへの取り組みを裸に近い状態で晒す必要があるのではないか。

別に「売上高が〇〇%減で苦戦中」なんて情報を晒す必要はないが、「国内のファッション業界はこうあるべきではないか」とか「売上高を拡大するためにこんな取り組みを構想しています」ということを発信してみてはどうか。
逆に「売上高〇〇%減少中」なんて情報を裸で流せたなら注目度は一気に高まるかもしれない。

ほかにもやりようはあるだろうが、筆者が考えるには上記のことを改善できれば、お客様とつながる可能性はゼロではないと考えている。

しかし、言うのは簡単だがどれも一朝一夕にできることではないから、改善しお客様とつながる可能性はかなり低いのではないかという気がしている。