昨今、大型のライフスタイル提案型のショップが乱立している。
一つのコンセプトに沿ってさまざまなジャンルの商品をそろえて、ライフスタイルを提案するのだが、グランフロント大阪の無印良品のように広大な面積が必要となる。

エストネーションやビオトープなんかもそうだろう。

小型店がライフスタイル提案を行うのは面積の関係上かなり難しい。
実際にアパレル業界には洋服+数型の雑貨を置いて「ライフスタイル提案型です」と自称している中小型店も少なくない。

しかし、感度の鈍い筆者のような消費者からすると、「洋服にリュックを3型・靴2型を置いただけで何がライフスタイル提案型か」と疑問に感じてしまう。

そういう観点において、筆者は中小型店でライフスタイル提案型はかなり難しいと考えていたのだが、この考え方を使うと、小型店でもライフスタイル提案をできるのではないかと思うので紹介したい。

そば打ち体験や陶芸体験はエクスマではない
http://www.ex-ma.com/blog/archives/3842

けっこうな長文である。

メガネ店の例があるのだが、抜粋しつつ引用するので一緒に考えてもらいたい。

抽象化して、本質を考えてみましょう。
あなたの店でメガネを買うと、お客さまはどんないいことがあるか?
どんな悩みを解決するの?
どんな問題を解決するの?
そう考えてみる。

あなたのメガネ屋10店舗の社員、全員で考えてみるとします。
自分の店は、メガネを売っているのではなく、どんなコトを売っているのか?
グループに別れ、みんなでアイデアを出し、まとめていく。

一番に思いつくのは、「目がよく見えるようになる」ということです。
視力矯正です。

目がよく見えるようになると、たくさんのいいことがあります。

大好きな人の顔や姿がよりくっきりと見え、より仕合せになる。
美しい花や風景がより美しく見えるようになり、楽しさが倍増する。
本や映画、ウェブサイトがより鮮明に見え、理解度が増す。
美味しい食事がより美味しそうに見え、実際に美味しく感じられる。
などなど・・・

視力矯正以外にもありますよね。

メガネやサングラスはファッションの一部です。
メガネをかけることでよりおしゃれになるとも言える。
流行のデザイン性の高いメガネや、目立つサングラスをかけることで、よりおしゃれになる。
そうすると、アパレルのブティックと同じように、ファッションを売っているともいえます。

ほかにも、サングラスを買うお客さまは、ドライブするときに太陽光が眩しくないように使う。
釣りをするときに、水面の反射を消すために使う。
自転車に乗るときに、風が目に入らないために使う。
海水浴で紫外線をカットするために使う。
などなど、そうするとアウトドアやスポーツを支援しているとも言えます。

さらに、知的に見えるメガネを買うビジネスパーソンは、仕事ができそうに見える。
しっかりと視力矯正して、本を読むのが苦痛じゃんなくなり、ビジネスの勉強できるようになる。
だとすると、メガネ屋さんはビジネスがうまくいくお手伝いをしているかもしれない。

そんなふうに考えてみるわけです。

そうすると、本来売っているものに気づいていきます。
メガネ屋さんが提供している大切なソリューション(問題解決)「目がよく見えるようになる」という視力矯正で考えてみる。
大好きな人の姿がよりよく見えるようになったり、自然界の美しいものがより美しく見えるようになったり、美味しい料理がより美味しく感じられたり、本や映画がより理解できるようになったりすることは、どういうことを人々に提供しているのでしょう。
それはもしかすると、人々をより「元気」にしているのかもしれない。

元気にする。

そういうキーワードだとすると、「うちのメガネ店は、メガネを通じて、人々を心身ともに元気にする店」ということになる。
そう定義してみるのです。

とある。

そこで、

「元気を提供しているメガネ屋」だとすると、様々なことが変わります。

メガネだけが商品ではなくなるということ。
もちろんメガネがメインの商品です。
これで利益が出るわけです。
でも、店のコンセプトを伝える商品。
売れなくても、置いておくだけでいい商品。
そういうものが増えていくでしょう。

たとえば、元気になる本。
「この小説を読むと落ち込んでいても、すぐに元気になります」というPOPが貼ってある。
実際、小説でも自己啓発の本でも、読むだけで元気になる本ってありますよね。
そういうのを選んで売る。

映画のDVDとかも考えられるかもしれない。
元気になり、観た瞬間からやる気がわいてくるような映画。
ほかにも元気になる音楽のCD。
元気になるグッズ。
たとえばサプリメントとか食品とか、栄養ドリンクとかね。

売らなくても店の中に「店長がおすすめする元気になる本コーナー」などを作って、お客さまとコミュニケーションすることもできるかもしれません。
もちろん無料で貸し出すわけです。
そのうち「お客さまが読んで元気になった本、元気になれそうな、もう読まなくなった本をもってきてください」とかできるよになったら、すごい関係性ができてきますよね。

接客も元気になる接客は何かって考えて、変わっていくでしょう。
感じのいい笑顔でお迎えするのは当たり前になってきます。
電話の応対もそうです。
電話に出るときには「はい!いつも元気な〜メガネ店です」っていう電話のまくら言葉を使います。
店の内装やディスプレイも元気になる色使いや、メッセージ、ワクワクする店舗になる。

当然、社長や店長のブログでは、そういう発信をする。
元気になるブログです。
本の紹介、映画の紹介、飲食店の紹介、などなど「元気になる」をキーワードにさまざまな事象を紹介できます。
社長のTwitterでは、古今東西の「元気になる名言」をツイートするのはいうまでもありません。
「大丈夫!心配事の98%は取り越し苦労だから」とかね。(笑)

そうなっていくと、おもしろい店ができますよね。

とある。

この考え方を応用すると、小型店でもライフスタイル提案型になることは可能だろう。
「メガネを通じて元気にする」というコンセプトで切ると、「元気になる」ようなサプリメントや食品、本、CD、雑貨、洋服などを置くことができる。

通常よくある「ライフスタイル提案型ショップ」だと、なんだか付け焼刃的な品ぞろえが多いが、「元気にする」というコンセプトを切り口にするとメガネ以外の商品の品ぞろえもスムーズにできる。
人気ブランドに頼る必要もないし、セレクトショップがこぞってやっている「別注商品」に頼る必要もない。
セレクトショップがやたらと「別注」に頼るのは、コンセプトの切り口がなくて、人気ブランドを扱いたいけれども希少品もほしいという矛盾した考えがその原点にある。

要するにセレクトショップ各社は「スペック」での差別化に凝り固まっているのである。

いわゆる「差別化アリジゴク」に落ちているともいえる。

そして、

あなたの店でメガネを買うと、お客さまはどんないいことがあるか?
どんな悩みを解決するの?
どんな問題を解決するの?

という部分がマーケティングの基本的な考え方である。
誰のどんな悩みを解決するのか?というのがマーケティング的思考である。

アパレル業界でこれを実行している企業・ブランドはかなり少ない。
多くの企業・ブランドは自己満足を消費者に押し付けている。

「俺がカッコイイと思う物をそろえました」とか
「俺のテイストが分からないやつはダサい」とか
「西海岸のトレンドを直輸入」だとか
「パリの伝統的な洋服」だとか

これらはすべて自分たちの好みを提案しているだけであって西海岸のトレンドを直輸入することで、誰のどんな悩みが解決するのだろうか?

これをキチンと答えられる企業・ブランドはかなり少ないだろう。

単に「西海岸のトレンドを直輸入しました」というブランドに興味を持つ人はそれほど多くないだろう。
西海岸はそれほど身近な存在ではないからだ。
多くの消費者にとって「ふーん」と言えばお終いである。

その結果、売れずにブランドは撤退する。
担当者や窓口企業は「西海岸のトレンドを分からない消費者はだめだ」とか「西海岸のトレンドは消費者に受け入れられなかった」とか言う具合に愚痴ったり、反省したりするわけだが、「誰のどんな悩みを解決するのか?」という根本が抜け落ちていたことに気が付かないままに次のブランドを手掛ける。

極言すればこれが今までから現在まで続くアパレル業界の構図である。

だから「価格競争」「トレンド競争」「スペック競争」「製造地競争」「別注競争」に陥るのである。
そうそう「伝統の技法競争」というのもある。

筆者は別にエクスマとは何の利害関係もないし、カネをもらっているわけでもないが、この考え方を持たずして、これからの時代、新ブランド開発も新商品開発もほとんど成功しないだろう。

上に書かれている考え方を呑みこんで応用できれば、小型店・小規模ブランドでもライフスタイル提案は可能だろうし、価格競争・トレンド競争に巻き込まれることもない。

一度、熟考してもらいたい。