お盆休みのころ、Eメールでお知らせがきた。
ライトオンのオンラインショップからである。

ライトオンでエヴィスジーンズの別注商品の販売を開始するそうで、その先行予約販売の案内である。

あのエヴィスがライトオン用の別注を作るというのでちょっと驚いてしまったのだが、これについて独断と偏見を交えながらあれこれ考えてみたい。

価格は通常のエヴィスより少し安い13000~16000円(税抜)。

素材は全型綿100%であり、ストレッチ素材は入っていない。

サイトで見る限り、4型である。

ワイドセルビッジ
テイパードセルビッジ
レギュラー
スリム

である。
そしてレギュラーとスリムはワンウォッシュと加工の2色ずつがあるから、全部で6種類ということになる。

予約期間は8月27日までで、9月下旬に届くことになっている。

すべての商品には男性モデルが着用しているが、それを見る限りにおいてトレンドとは一線を画している。
直接的に言えばトレンドとは無関係である。

スリムとなっているが、画像で見る限りにおいては、他ブランドのレギュラーストレートくらいの太さがあるように見える。
個人的にはこれにはちょっと食指は動かない。

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(スリム加工色)

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(スリムワンウォッシュ)

綿100%デニム生地を使っているのだから、ある程度の太さがないと動きにくい。
いわゆるトレンドの細身シルエットをこの素材で作ることは無理である。

さて、顧客ターゲットはどこだろうか?

筆者はマイルドヤンキー層ではないかと考える。
もしくはマイルドでないヤンキー層も含まれるかもしれない。

エヴィスは90年代半ばのビンテージジーンズブームで脚光を浴び、その後、ヨーロッパでのライセンス生産という戦略によって国際的に人気を高めた。
2002年の日韓ワールドカップの際、イングランド代表のベッカム選手が着用していたことから再び注目を集めた。

2005年くらいまではファッション層が着用することが多かったように思うが、2004年ごろからよりスタイリッシュな欧米プレミアムジーンズがブームとなり、ややトレンドからは外れた印象がある。
2008年からはストレッチデニム素材を使用した極細のスキニージーンズが人気となったことから完全に非トレンドブランドとなった。

この2005年前後くらいから、ファッション層が離れ、エヴィスの着用者は都心・郊外を問わずマイルドヤンキー層が主流になった印象が強い。
それから10年弱が経過している。
筆者はマイルド&マイルドでないヤンキー層向けのジーンズブランドというイメージが世間に定着したように感じる。

またエヴィスの直営店からもディスプレイや内装、外観すべてにヤンキー層志向を感じる。
同じビンテージ系ブランドのウェアハウスの直営店とはすべての印象が大きく異なる。

業績が伸び悩んでいるライトオンとしては、そのヤンキー層を積極的に取り込むつもりなのだろうか。
たしかにライトオンにはこれまであまり来なかった客層かもしれない。

ただ、それが実現した場合、店舗イメージは良くなるなると思うのだが、それはどう考えたのだろうか。

一方、ジーンズ業界全体を見渡してみると、エドウイン、リー、リーバイス、レディースのサムシング以外にナショナルブランドと呼べるジーンズブランドが消滅してしまっている。

必然的にライトオンだろうがマックハウスだろうがジーンズメイトだろうがこの4ブランドを扱うほかない。
そうすると、品揃えは同質化してしまい、あとは価格勝負になる。
もちろん販売定価が決まっているからむやみな安売りは自分の利益を削ることになるためできない。

やれるとしたら廃盤品の値引き合戦である。

新たに導入できるブランドは自社企画品くらいしか残っていない。

となると、トレンドは無関係だが、それなりに知名度が高いエヴィスはうってつけといえる。
エヴィスとしてもピーク時よりは確実に売上高が落ちているだろうから、ある程度の販売数量が見込めるライトオンとのタイアップは悪い話ではない。
単なるエヴィス側からのライセンス権供与だとしても、エヴィスにはライセンス料が入るから悪い話ではない。

かくして両社の思惑は一致したのではないだろうか。
まあ、あくまでも傍から見ていた感想であるが。

オランダのGスターは、現在、直営オンリーショップを全国で展開しつつ、ライトオンにも卸売りをしている。
実際の店頭でどれくらいGスターが売れているのかはちょっとわからない。
筆者もライトオンの店頭はよく覗くのだが、Gスターを手に取っている人はいつもほとんど見かけない。

しかし、ライトオン側とすればGスターを並べることで店のイメージアップを図ることができる。

おそらくエヴィス側もGスターの展開を幾分かは念頭に置いたのではないだろうか。

この取り組みが上手く行くかどうかはわからない。

Gスターのような安定的な取り組みになるかもしれないし、上手く行かないかもしれない。

トゥルーレリジョンというブランドがプレミアムジーンズブームのころに大人気だったが、今ではジャパン社さえなくなっており、日本では穿いている人はほとんど見かけない。

その最終局面前後の頃、ライトオンが9800円に値下げして大いに売りまくったことがある。

そんな風になってしまうブランドもある。