経産省が「着物を着る日」を導入しようと計画している。
まあ、これについての賛否両論はある。

筆者は今の着物業界も含めて否定的に見ている。
当然、業界関係者はテコ入れに期待を寄せている。

いろいろなところで書かれているけれども、ピーク時には着物業界の売上高は約1兆8000億円だったという。
現在は3000億前後を行ったり来たりしている状態で、ピーク時の6分の1にまで縮小している。

アパレル業界でいうと3000億円ならワールドの年商規模とほぼ同じであり、ユニクロの年間売上高の半分以下である。

個人的には今後も着物業界が今の体制と商品構成を維持するなら、売上高が爆発的に増えることは不可能だと考えている。
ほそぼそと伝統工芸、無形文化財的に維持されれば良いのではないか。

さて、着物を着る日についての賛否両論は様々な切り口がある。
そんな中で、業界関係者からはあまり出なかった切り口の記事が掲載されたのでご紹介したい。

経産省が促進する「着物出勤」 職場のトラブル増加は確実か
http://www.news-postseven.com/archives/20150817_341025.html

候補となっているのは、浴衣の季節である7月から8月、すでに一般社団法人全日本きもの振興会が「きものの日」として設定している11月15日、そして、仕事納め、仕事初めの年末年始の3つです。

とある。
まあ、年に3日くらいなら導入しても良いのかもと思えてくる。
ただ、仕事納めは社内の大掃除をする会社も多いからそのときに着物を着ていると汚れる可能性もあるし、いろいろと不便なのではないかとも思う。

で、目新しい切り口はこの後である。

 しかし、会社の人事労務管理をサポートする社会保険労務士という立場からは、この試みには諸手を挙げて賛成はできません。

なぜなら、どうしても着物をめぐって会社のトラブルが増えることを予感してしまうからです。

 就業規則や服装規定できっちりと定めている会社もあれば、暗黙の了解であったりと、多かれ少なかれオフィスにはドレスコートが存在します。

 着物も洋服同様、フォーマルなものから、カジュアルなものまで種類はさまざま。また、着方によって雰囲気もがらりと変わります。

 着物姿が非日常的な今、オフィスにおける着物のドレスコードをイメージできる人は少ないでしょう。なんの縛りもなく、オフィスでの着物を解禁したら、個性あふれる振り袖姿が話題をさらう最近の成人式さながら、職場で着物をめぐるひと悶着が起きそうです。

 もう一つ、懸念されるのが、お金をめぐるトラブルです。たとえ、会社が任意で着物での出勤を促したとしても、中には、「事実上の強制」ととらえる人もいるでしょう。着物を自分で着られる人は、非常に少ないのが実情です。

「着物出勤日を作るなら、着付け手当を出して欲しい」――労働者からこんな要求が出てくることも、容易に想像がつきます。

 7月31日、東京・渋谷の商業施設が企画した夏祭りに合わせて、渋谷に本社がある東急電鉄など約20社が、「浴衣で出勤」イベントを行いましたが、会社内に着付け部屋を設置、着付け師を手配するなど、万全の体制を整えています。

 要は、会社がコストをかけないと、着物出勤者は増えないということです。

「給料も上がらないのに、着物なんて買えるわけない!」

 場合によっては、着物出勤をきっかけに給料面の不満に飛び火することだって、十分、ありえます。

「コスト削減で必死なのに、きもので出勤なんて、経産省はお気楽なことを考えるもんだ。もっとやることがあるだろう」――零細・中小企業の社長からこんな怒りの声を買いそうです。

 着物で会社に出勤するきものの日の制定で着物を日常着に復活させようというのが経産省の狙いです。

 経産省の旗振りで着物出勤を推進するのであれば、量販店に並ぶスーツの価格帯でオフィスにおける着物のドレスコードの模範となるような“ビジネス着物”の提案ぐらいは、あってしかるべきでしょう。

とある。

この意見には大筋賛成である。

着物を日常着として復活させたいのであれば、ここでも指摘されているように手ごろな価格帯と、仕事をするのに適した形態の開発、着付けの簡素化が必須である。

着物を着慣れた人からはよく「着物を着ててもなんでもできる」という意見を聴くが、そこまでになるのにどれほどの時間と手間と費用がかかるのだろうか。
そしてどうしてそこまで我慢してまで慣れる必要があるのだろうか。

一人では着られない日常着なんてそんなナンセンスな物は存在しない。

それと好き嫌いの問題だが、成人式で着られるようなあの色柄はかなりダサいと思う。
明るいピンク地に大振りな花柄。
あれが本当に日本の伝統柄なのか正直言うと疑問を感じる。

日常着として復活させるのであるなら、野良着の方が適しているだろう。
野良仕事用の作業着だから当然それなりに動きやすい。

もし、この着物着用企画が実現したとしても、カジュアルフライデーやらプレミアム商品券のように思ったほどの効果は得られずに終わるのではないか。
そんな気がする。