今回は珍しく東京に出かける用事があり、何社かまわってきた。
そのうちの一つが先日書いた台東デザイナーズビレッジだったのだが、あと何回か東京でまわった会社のことを書くことがあると思う。

今回は、カイタックファミリー婦人カジュアル営業部の展示会が面白かったのでご紹介してみる。
何の展示会かというと、ジーンズの展示会である。

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今回の目玉は、「360°ストレッチ」と名付けられた2ウェイストレッチデニム生地を使ったシリーズだ。
縦横両方の方向に伸びる。

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カイタックファミリーというのはもともと量販店向けパジャマ、下着のメーカーで、カイタックグループの一社だ。
グループ内には、ジーンズカジュアルを得意とするカイタックインターナショナルもある。
カイタックインターナショナルは、インポートプレミアムジーンズを展開する事業部と量販店向けのレディースジーンズを展開する事業部があり、今年のグループ内の組織再編によって、この量販店向けレディースジーンズ事業部がカイタックファミリーへと移管された。

なので、カイタックファミリー婦人カジュアル営業部は元のカイタックインターナショナルの量販店向けレディースジーンズ事業部ということになる。

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この「360°ストレッチデニム」はかなり伸縮性が高い。
展示会場に試着室があったので試着してみて実感した。

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筆者も3年ほど前に初めてストレッチ混のパンツを買った。
細身シルエットがトレンドになっているため、通常の綿100%素材ではどうしても動きが窮屈である。
それでも我慢して穿いていたが、3年前にストレッチ混パンツを穿いてみるとその快適性は天と地ほどの差がある。
それから購入したパンツはほとんどがストレッチ混である。
ストレッチ混に慣れてしまうと、もう綿100%パンツは穿きたくなくなってしまった。
細身トレンドが続く間はストレッチ混への需要はさらに高まるだろう。

そんなストレッチ素材だが、この360°ストレッチは通常のストレッチ素材よりもさらに快適だった。
快適といえばスエットパンツも快適だが、穿きこなしが難しい。
スマートで足の長い体型の若者なら良いが、筆者のようなオッサンが穿くとどうにも寝間着に見えてしまう。
試着をすると「そんなことないですよ」とお世辞半分で言ってくれるが、鏡に映った自分はどうにも寝起きの寝間着を着たオッサンに見えてしまう。

そんなわけでスエットパンツは寝間着にしか着用できないのだが、編み物であるスエットに匹敵するくらいの伸縮性があった。

「360°ストレッチ」とひとまとめにされているが

スタンダード
マックス
セルビッジ

の3種類の素材をそろえている。

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(スタンダードライン)

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(マックスライン)

このうち、スタンダードが国産生地、マックスとセルビッジはトルコ製生地であり、スタンダードよりもマックスの方が伸縮性がさらに高い。

スタンダードとマックスの両方を試着してみたがたしかにその通りである。
しかし、スタンダードでも通常のストレッチ混素材よりもはるかに伸縮性が高く十分に快適だった。

セルビッジはそこにさらに赤耳が付いている。
余談だがここまで伸縮性の高い赤耳付のデニム生地というのは相当に珍しい。

気になる価格だが、スタンダードは店頭で5900円内外になる見通しで、マックスとセルビッジは最低でも1万2000円以上になるだろうといういうことである。

さて、今春夏はジーンズが復活基調にあるという。
これまでスキニージーンズ一辺倒だったトレンドがようやく動き始めたからだ。

腰回りと腿がスキニーよりも少しゆるいテイパードジーンズがトレンドになり始めている。
とはいえ、今春急に登場したアイテムではない。
もう2年ほど前からメンズ、レディースともに店頭に並んでいた商品で、ジワジワと支持を増やしてきたといえる。

貼り付くようなシルエットのスキニーよりもテイパードジーンズの方が門戸が広い。
スキニーが本当に似合う体型は足の長い細身である。腿が太くてお尻の大きな体型はスキニーは似合わない。
モモヒキとかスポーツ用のタイツみたいに見えてしまう。

腰回りと腿にゆとりのあるテイパードはそういう人でも穿きやすいし似合いやすい。

門戸が広いということは支持を集めやすいということなので、今後さらに広まる可能性がある。

2008年以降低迷してきたジーンズにようやく好転する兆しが見えたといえる。

そういう状況下において、カイタックファミリーが機能に特化した切り口で打ち出すことはかなり有効ではないか。

とくに量販店をメインターゲットにするブランドならきわめて有効だろう。

ジーンズを得意とするブランドは得てして「生地の風合い」を強調しすぎるきらいがあった。
見た目とか触感とかはたしかに重要だが、ビンテージジーンズブームのころならいざ知らず、現状ではそれに反応する消費者はかなりニッチなマニア層だといえる。

ストレッチ混素材がジーンズに限らずなぜこれほど広まったかというと快適だからである。

ファッション性という切り口に快適という機能がプラスされて支持されている。
例えばツイードという素材は本来は重くて硬い。しかし、今、そんなツイードを使用しているブランドがどれほどあるだろうか。いわゆる「本物」のツイードを使用しているブランドはそういうマニア向けに限られている。

多くのツイードは薄くて柔らかくて、場合によってはストレッチ混素材にもなっている。

マス層に売るためには「快適」をはじめとした機能性が求められる。
これはツイードに限らず、すべての素材に言えることで、当然、デニム生地にも同じことがいえる。

展示会場でうろうろしていると、営業部長代理兼専門店部の山下秀一ゼネラルマネージャーというエライ人につかまってしまった。

初対面だったのでちょっと恐る恐る話してみたのだが、にこやかに答えていただいて助かった。

山下マネージャーには
「安いだけでは売れなくなった。価格を上げるためにはプラスアルファの要素が必要。そこで今回はストレッチという機能性に注目した」という狙いがあるそうだ。

「あれもこれもあります」とか「なんだかよくわからないけど、これカッコイイでしょ」という姿勢では、小売りも卸も物が売れない時代になっている。
機能性でもなんでもかまわないから分かり易い切り口を一つ作ることは有効な手段だといえる。

今回の商品は量販店への卸売りを狙いつつも、百貨店・専門店向けブランドへの卸売りやOEM生産も視野に入れているという。

何はともあれ、久しぶりにあっと驚くような高機能素材に出くわした。
この素材を使った商品なら何本か買ってみたいと思った。

ただし、販売価格が5900円内外ならwww