先日、東洋経済オンラインにユナイテッドアローズ不調の記事が掲載された。

昨年秋からユナイテッドアローズは月次実績発表で大きく客数を減らしていた。
15%前後の減少が続いていた。
明らかになにか変調をきたしていたのだが、それを報じる媒体はほとんどなかった。

いわゆる、業界のスター企業なので自主規制が働いたのかと思うほどだった。(笑)

ユナイテッドアローズ、まさかの失速のワケ

“セレクトショップの雄”はどこで誤ったのか
http://toyokeizai.net/articles/-/71000

5月8日に発表した2014年度の連結業績は、営業利益が前期比16.8%減の113億円。期初時点では最高益を見込んでいたが、一転して、6年ぶりの減益に落ち込んだ。高額宝飾ブランド品の「クロムハーツ」は好調に推移したが、主力のセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」が不振だった。

とある。
まあ、大幅減益だが、黒字を維持しているのでそこまでの危機ではないと感じるが、成長が踊り場に乗り上げたという印象を受ける。

価格的にも中級以上を扱い、商品も万人向けではない主力業態のユナイテッドアローズが無限成長を続けるということは最初から考えにくく、どこかで踊り場に足を踏み入れることは自然な流れといえる。
成長し続けるには客数を維持したままで単価を上げ続けるほかはない。

しかし、そんな高価格品になってしまうとユナイテッドアローズのブランドポジションからは外れてしまう。
筆者が見るところ、ユナイテッドアローズはラグジュアリーブランドではないし、そこに並んでもいない。
やはりラグジュアリーブランドよりは何格か下である。
そういうポジションのブランドがむやみに商品価格を上げ続けても現状の顧客の大部分は追随しないしできないだろうと推測する。

この記事では、今回の不振の原因を

営業減益の最大の要因は、価格戦略の失敗だ。円安による輸入コスト増を吸収するため、2014年の秋冬商品でシャツやカットソーなど定番品を一律値上げしたことが裏目に出て、10月以降に客数が急減。これを受け、アウトレット店や催事セールを増やし、10~20%の値引き販売によって在庫処分や廃棄処分に踏み切ったため、粗利率が悪化した。

と指摘する。

そして、

同社の商品値上げは、昨秋が初めてではない。2013年の秋冬商品で一部商品の値上げを実施。続いて、2014年の春夏商品も一部値上げした。いずれの値上げも、対象を高価格帯の商品や新規投入した商品などに絞っており、客数が大きく落ち込むような深刻な影響は生じなかった。

だが、2014年の秋冬商品では値上げ対象を“定番品”まで一気に広げたため、顧客から「値段が高い」との声が相次ぎ、店舗から足が遠のいていったとみられる。主力業態の2014年10月の客数は、前年同月比14%減とダウン。翌月以降も、今年3月まで2ケタ減の厳しい状況が続いた。

10月以前は、客数が減っても客単価が上がることで、既存店売上高は一定の水準を維持してきた。だが10月以降は、客数の落ち込みが大きく、客単価の上昇でカバーしきれなくなった。

同社の顧客はファッションに敏感なコアファンが多く、特に高額商品には底堅い動きがある。そうした商品は質やデザインを認めたファンがいるため、値上げの影響をそれほど受けなかったとみられる。ただ、今回は値上げ対象をほぼ全品に広げたことで、購入頻度がそれほど高くない一般顧客が去ったようだ。

と続ける。

これが不振のすべての原因ではないだろうが、一因ではあるだろう。
ユナイテッドアローズを含む日本のセレクトショップの多くが、そこそこの高額品を扱いつつ、一般消費者でも手の届く程度の価格品を扱っている。
例えば、グラフィック入りの半袖Tシャツが2900円とか3900円であるし、オリジナルのジーンズも6000~8000円くらいである。

ユニクロよりは少し高いが、一般人でも手の出せる範囲の価格帯だ。
この記事がいうところの一般顧客というのはこういう商品を購入していた層のことだろう。
ユニクロやその他の低価格SPAよりはセレクトショップの方がブランドステイタスは高い。
だから、ユニクロ価格+アルファで買える中価格帯の商品を購入したがる層は相当数いただろう。

こういう商品が値上がりしたなら、そういう消費者の多くは去ってしまうだろう。

昨今では消費は二極化だとされ、低価格品か高価格品という極端な価格方針を唱えるところもあるが、低所得者と高額所得者、中所得者が同じ店舗で買い物をする日本という社会において、やはり中価格帯品は必要ではないか。
低所得者と高額所得者では買い物をする店舗が完全に異なる欧米社会と同列に考えることはできない。

日本だと低所得者でもお金を貯めて(まれに借金して)高額なラグジュアリーブランドを買うことがあるが、欧米ではそんなことはない。低所得者がわざわざラグジュアリーブランドは買わない。
また日本では高額所得者でもGMSや低価格SPAでも購入をする。

少し横道にそれるが、そういう状況を考えると、日本製ブランドをやたらとハイエンド化するという昨今の風潮には疑問を感じる。
現にそれでユナイテッドアローズは失速したではないか。
鎌倉シャツが支持を集めたのは品質もさることながら、4900円という価格帯だったからではないか。

最後に打開策として

商品投入の頻度も見直す。従来の6シーズンから、最大8シーズン(梅春、春、初夏、盛夏、晩夏、初秋、秋、冬)に細分化して、一段と店頭での商品鮮度を高める。季節の移り変わりに応じた、売れ筋商品のきめ細かい投入で、売価をできるだけ維持するのが狙いだ。

とある。
これについては以前、小島健輔さんも言及したように、そこまで細かいシーズン分類が必要なのかと感じる。
これほど細分化してしまうと、シーズンごとの生産数量は減少せざるを得ない。
短い期間で売り切ってしまわねばならないのだから、当然、1型あたりの生産数量は減少する。
そうなると製造原価は上がる。価格を維持しようとするなら製造原価を叩くしかなくなる。
それこそ、工場はあり得ないほどの低工賃で製造することになってしまう。
工場を泣かせているのは何もファストファッションばかりではない。

そういえば記事中に

「ユニクロは工業品、ユナイテッドアローズはファッション」

という一節があるが、こういう見方はそろそろやめてはどうか。
ユナイテッドアローズに限らず、各社ともに「我々はファッション」というが、その「ファッション」がユニクロには歯が立たないではないか。しまむらにだって遠く及ばない。
だったら極端な言い方かもしれないが、その「ファッション」は工業製品以下と見ることもできるのではないか。

個人的にはユニクロとしまむらの二強時代はまだまだ続くのではないかと見ているのだが。