卸売り型カジュアルメーカーの破綻はまだまだ続く
2015年4月7日 未分類 0
先日、カジュアル衣料製造販売のアウトバーンが破産した。
ジーンズカジュアル専門店に並んでいるメンズのトップス類をよく企画製造していたメーカーである。
実際に筆者も何枚かアウトバーン製のトップスを持っている。
しかし、何年か前にアウトバーンは一度民事再生法を申請している。
民事再生法を申請したものの再建できずに破産する企業が多い中、アウトバーンは再建できた。
その再建したアウトバーンが今度は破産したというわけである。
今回の破産報道の中でもっとも背景が良くわかったのが以下の報道ではないかと考えている。
佐倉興産(株)、(株)アウトバーン、(株)Abbey Road/自己破産申請
http://n-seikei.jp/2015/04/a-1.html
なんで3社が並列に表記されているのか?と疑問を感じた人もいるかもしれないが、この3社は関連会社なのである。
旧 名(株)アウトバーンでカジュアル衣料製造販売の佐倉興産(株)(東京都荒川区東日暮里5-5-7、代表:吉野浩)と関連の(株)アウトバーン(同、同) および(株)Abbey Road(東京都荒川区東日暮里5-32-10、代表:同)は3月31日、申請処理を新垣卓也(電話03-3435-1177) に一任して、東京地方裁判所へ自己破産申請した。
負債額は佐倉興産が約31億円、アウトバーンが約31億円、Abbey Roadが約5千万円で3社合計約62億。
佐倉興産は、カジュアル衣料の自社ブランド品の生産やライセンス生産を行い、ピーク時は140億円超の売上高を計上していた。しかし、デフレ経済下売り上げ不振に陥り、平成19年9月に民事再生申請した。 その後3年経過、民事再生手続きが終結となったものの、消費不況が続き、販売不振が続き、これ以上支えきれず今回の措置となった。
とのことである。
ちょっとややこしい話だが、2007年9月にアウトバーンは一度民事再生法を申請している。
これは先ほど書いた通りである。
その後、民事再生手続きが終結となり、そのアウトバーンは佐倉興産と社名を変えて、今度は新アウトバーンを設立した。
それが今回破産したアウトバーンであり、元のアウトバーンである佐倉興産と、関連会社のAbbey Roadも同時に破産したということになる。
各報道ではアウトバーンの負債総額は31億円と伝えられていたが、佐倉興産も31億円の負債であり、3社合計すると62億5千万円の負債にまで膨れ上がる。
それにしてもアウトバーンに限らず、ジーンズカジュアル専門店チェーンを得意先にしているアパレル企業の先行きはなかなかに厳しいと言わざるを得ない。
ジーンズカジュアル専門店チェーンは減少する一方である。
当然、今も残っているチェーンもあるが、ピーク時に比べて勢いはない。
全国チェーンでいうとライトオン、マックハウスが2強。
かなり差がついてジーンズメイト。
あとは地域密着型のチェーン店である。
全国チェーン3社はピーク時よりも売上高を落としており、店舗数も減少傾向にある。
地域密着型のチェーン店自体も企業数は減っており、現在の生き残り店が格段に店舗数を増やす可能性は低い。
一方、ユニクロに限らずSPA型カジュアルチェーン店各社の店舗数は増えている。
卸売り型のメーカーは、ジーンズカジュアル専門店向けの売上高が減った分をどこかで埋め合わせないとならない。その有望な埋め合わせ先はSPA型カジュアルチェーン店のOEM生産ということになるが、それも簡単にできるわけではない。
すでにほかのOEM業者が入り込んでいることも多いし、取引条件が合わないことも多い。
そうなると、各メーカーの業績は低迷せざるをえない。
今回のアウトバーンに限らず、今後もさらに卸売り型カジュアルメーカーの経営破綻は続くだろう。