2000年代後半くらいから、ウェブでの情報発信に力を入れているブランド・企業と、相も変わらずファッション雑誌に注力しているブランド・企業とでは露出に大きな差が出てきたように感じる。

2000年代半ばまでは、ファッション雑誌への露出こそが有力なブランド戦略といえたが、2000年代後半からはそうではないと感じる。
百貨店やファッションビルにそれなりの店舗数を構えるブランドでも近年さっぱり噂を聞かないところも数多くある。
そういうところの多くは、広報・プレス担当者が十年一日のごとくファッション雑誌を神聖視している。

以前にも書いたことがあるが、あるイタリアのジーンズカジュアルブランドで、取材窓口の担当者が「最近、ファッション雑誌に掲載しても反応がほとんどないんですよ」と嘆いたことがある。
このブランドは過去に、数多くのファッション雑誌との付き合いがあるからファッション雑誌の力を十分に認識している。
しかし、そういうブランドでもファッション雑誌による販促効果を疑問視し始めている。
ちなみにこのブランドの本社はすでにウェブによるプロモーションを大々的に開始している。

ファッション雑誌がすべからく不要とは考えていない。
今後も何誌かは確実に残るだろう。
ただ、ファッション雑誌の影響力は10年前と比べて著しく低下しているというのが現状である。

先日、なんばパークスのリニューアルオープンがあり、新興レディースセレクトショップ「ザ・コーナー・ストアルーム」が関西初出店をした。
この店舗が5店舗目となる。

このセレクトの最大の販促手法はウェブである。ブログ、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSであり、SNSでの拡散によって、アイテムをオープン当日に2型完売させている。

取材時に担当者からは「即効性があるのはやはりウェブ、SNS。ファッション雑誌はジワジワという浸透力はあるが、掲載したことによって商品の動きが大きく変わるようなことはない」との返答があった。

5店舗という小規模なので他の大ブランドと単純比較はできないが、これが現時点での実情といえるのではないか。

ウェブだとたとえば、そのページに1万人の訪問者数があったとして、ほぼ全員がそのページを確実に見ている。
一方、ファッション雑誌は公称発行部数が20万部あったとして、実際の販売部数はそのうちのどれくらいになるかはわからないし、購入した数万人全員が全200ページを隅から隅まで読んだとは考えにくい。
となると、読まれないページが何ページもあるということになる。
その読まれないページに掲載されていたブランドは永遠に知られないままということになる。

情報を拡散させるということにおいては、SNSを利用したり、ウェブニュースに掲載される方がはるかに効率的といえる。

また、小規模なブランドやショップならファッション雑誌よりもウェブの方が料金的にも販促に使いやすい。

ファッション雑誌の純広告ならだいたい平均して1P掲載するのに50万~100万円、タイアップ記事なら見開き2Pで150~200万円くらいである。
一方、ウェブ媒体ならピンキリだが、20万円くらいから100万円くらいまでの間である。逆に200万円を越えるような価格の媒体をあまり耳にしたことがない。
100万円は無理でも20万円くらいならなんとかなるというブランドも多いのではないか。

しかも雑誌(新聞も含む)は、媒体の販売期間が終わればその広告なり記事は購入した人以外は新に目にすることはできないが、ウェブ記事は掲載期間が終わっても検索すれば表示されるし、そういう記事が貯まれば貯まるほど検索でそのブランドが上位に表示されることになる。

先日、長年付き合いのある広告代理店のベテラン営業マンと雑談をした。
彼は大口予算のクライアントを持っているのだが、このクライアントブランドをウェブ媒体ではほとんど見たことがない。
自社の情報を拡散するもっとも有効的な手段は、現時点ではウェブであるから、彼にもウェブ媒体への取り組みを勧めた。

すると「プレスがウェブを頑としてやりたがらない。ファッション雑誌一辺倒だ」という答えが返ってきた。

失礼ながらそのクライアントブランドは時流に相当乗り遅れており、今後、最低でも数年間は売上高を伸ばすことができないだろうと思った。