最近、子供服のファミリアが思い切った施策を次々と打ち出している。

いわゆる、自社のブランド価値を高める施策である。

一つは保育園事業の開始。

ファミリアが保育園事業スタート 4月中旬に開園
http://www.fashionsnap.com/news/2015-01-21/familiar-preschool/

ベビー子ども服のアパレルメーカー ファミリアが、新規事業として保育園「ファミリア プリスクール(familiar PRESCHOOL)」を港区白金台に開園する。

もう一つは来年1月から夏冬のバーゲンセールを廃止することである。

ファミリア、16年からセール中止
http://www.senken.co.jp/news/company-news/familiar-discontinuedsale/

もっともこのセール中止は中期経営計画の内の一つにすぎない。

中期経営計画は4つの柱からなっており、保育園事業もその一つである。

20年1月期を最終年度とする中期経営計画「ファミリア2020」を発表した。既存店舗、戦略ショールーミングとウェブサービス、海外事業、保育事業の四つの事業戦略を進める。

とのことである。

そのうえで詳細を見てみると、

既存店舗は、店舗数を148から100に絞りつつ、「ブランド力を高める」(岡崎社長)ことで、1店舗あたりの売上高と収益を高める。ブランド力向上の一環として、この4年間で企画数を半分に絞り、八つのインナーブランドを廃止、サイズ別展開に変えた。

とのことである。そしてその延長線上としてバーゲンセールの廃止である。

これらはいずれもブランドの付加価値性を高める施策であり、中長期的な取り組みが必要とされる。
反対に短期的には売上高が減少し、利益も減る可能性がある。
それでもこういう施策を打ち出せたことは英断ではないか。

子供服業界は大人服業界以上に単価の下落が激しい。
大人服であれば、よほどの体型変化がなく、服が破損しない限りは10年以上着続けることができる。
洋服に一生物は存在しないと思っているが、10年物ならば可能だ。
だから、自分が気に入ったブランドには大枚をはたくという消費行動を取る人がいる。
そういう人はだいぶと少なくなったがそれでも子供服購入者よりは多い。

子供服はどんなに品質が良くても最長でも2年くらいで必ず買い替えなくてはならない。
子供の体が成長するからサイズが合わなくなる。
大は小を兼ねるが、小は何も兼ねないのである。

某ブランドに「うちの子供服は国産で丈夫だから、親戚や近所のお子さんへのお下がりとしても使える」なんてことをおっしゃっていた社長がおられるが、親戚や近所のお子さんへお下がりとして渡すことを考慮してわざわざ高い子供服を買う消費者などほとんど存在しないだろう。
それはややもすると単なるオーバースペックとみなされる。

だから、子供服はよほどの富裕者以外は、低価格品を使い捨てるという消費行動になる。
それは当然の流れである。
実際に保育園に置いておく着替えのほとんどはユニクロや西松屋である。

そしてユニクロや西松屋などの商品の安さは極限であり、中途半端なブランドが1000円やそこらを引き下げたところでまったく競争力がない。
8900円の半ズボンを6900円に引き下げましたと言ってみたところで、ユニクロや西松屋は半ズボンを1900円とかそれ以下で販売しているのだからまったく太刀打ちできないし、無意味である。
製造ラインも販売員も疲弊するだけである。

ならば、その価格帯で販売できるような施策が求められる。
いわゆるブランド化とか付加価値戦略と呼ばれる施策である。

しかし、これがなかなか難しい。
ブランド価値は一朝一夕には高まらない。
どうすれば良いのかを端的に述べることは難しいし、適切なブランド化の手法を常に指し示せる人もほとんど存在しないだろう。
いろいろと手探りで気長にやっていくしかないという部分も大きい。

ただ、価格競争で勝ち目がないのであれば、各ブランドともに売り方、見せ方を工夫するほかない。

今回のファミリアの施策は中長期的な視点に立ったブランド化への取り組みだと読める。
成功するかどうかは正直わからないが、ぜひとも成功させてもらいたいものである。