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南充浩 オフィシャルブログ

リーバイスの中間価格帯は成功するか否か

2015年2月19日 未分類 0

 リーバイス、家族向け6500円発売
http://www.senken.co.jp/news/levis-lowerpriceline/

プレミアム戦略は継続するが、ジーンズカジュアルチェーン店など郊外型マーケットに向けて、6500円以上の中価格帯のジーンズのテスト販売を3月から開始する」ことを明らかにした。テスト販売の結果が良好なら、15年秋物から本格展開する計画だ。

とある。

実はこの記事の全文を読んでも今一つ共感できないでいる。

リーバイスは数年前に5900円という中間価格帯の「オレンジタブ」を廃止している。
筆者には今回の打ち出しがオレンジタブの復活というように見えて仕方がない。
(実際にタブがオレンジになるかどうかは記事からは分からない)
今、復活させるならなぜ当時それを廃止してしまったのか不思議でならない。

「オレンジタブ」ラインが作られた当時は、ユニクロの大躍進と不況から低価格ブームが起きたころである。
9800円以上の商品のみでは戦えないという判断があった。
実際はもっと低価格のイオンとのシグニチャーモデルも発売したことがあるが、その出来栄えは到底良いものとは思えなかった。
ある程度のリーバイスらしい品質と見た目を保っていたのは「オレンジタブ」である。

リーバイス伝統の赤タブをオレンジにし、価格帯を分けるというのは買う側からすると分かり易い施策であったと感じる。

リーバイス・ストラウス・ジャパン社の特徴は、社長が交代するたびにめまぐるしく施策が変わることである。
そして筆者が傍目から見ていると、それは一貫性に欠けると感じる。

今回の低価格商品問題は社長が交代するたびに、廃止と創設を繰り返している。
もう一つの施策は世界統一企画の導入と廃止に繰り返しである。
その裏返しとして日本独自企画の復活と廃止がある。

経営施策は時代に応じて柔軟に対応しなくてはならない反面、ブランド作りというのは一貫性がなければならない部分がある。
一貫性を保ちつつ柔軟に対応しなくてはならないのだから、これはなかなか難しい作業である。
この難しい作業ができなければブランド作りなんてものはできないから、実際はアパレル業というのは大変に難しい業種だといえる。

好きこそ物の上手とはいうものの、「服好き」だけではどうにもならないのがアパレル業だとも思う。

めまぐるしく数年おきに方針が変わるリーバイ・ストラウス・ジャパンに対して、「柔軟に対応している」と評価することもできるが、筆者の目には一貫性に欠けると映る。

経営的に考えるなら「ダメなものは早期に廃止すること」は良いが、ブランド作りという観点からいうなら、短期間で止めてしまえば定着させることは難しいともいえる。

オレンジタブを廃止して、今更また中間価格帯の復活というのは果たして効果があるのか、筆者には疑問である。
低価格志向は現在は幾分弱まりつつある。

誤解してもらいたくないが、低価格衣料品はなくならない。
しかし、低価格品だけを欲しがる風潮ではなくなりつつあると感じられるということである。

この風潮が出始めた時期にわざわざ低価格品を新たに作るというのはちょっとタイミング的に疑問を感じてしまうわけである。

例えば郊外店に限らず、ジーンズチェーン店には期末になると30%程度割り引かれた廃盤のリーバイスが並ぶ。
だいたい7000円弱くらいになるから今回創設される中間価格帯とほぼ同等ということになる。
どちらを買うかというと、筆者なら割り引かれた方を買う。
元々、1万円前後の定価で販売されていた物だから割安感がある。

そう考えると新ラインもなかなか売り方が難しいのではないかとも思う。

その一方で、ジーンズというアイテムに関しては、アパレル業界人からも「ユニクロの次の価格帯が1万円を越える。その中間価格帯がない」という嘆きの声も聴かれる。
実際のところはその中間価格帯の商品もあるのだが、業界人にすらあまり認知されていないといえる。

そこに向けての需要はあるだろうからリーバイスの新商品もそれなりの需要はあるのではないかとも感じる。

ただし、昨今は郊外型ジーンズチェーン店でも自主企画商品を製造販売しているから、6500円という価格帯はチェーン店の自主企画商品と競合する価格帯でもある。

筆者程度の知識では今回の取り組みが上手く行くかどうかは皆目見当がつかない。
いろいろと書いてきてアレだが(笑)、上手く行くことを願っている。
こんな感じでお茶を濁しておこう。

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