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南充浩 オフィシャルブログ

自社工場の所有は販促的にも大きな資産になる

2015年1月5日 未分類 0

 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

ときどき、このブログのPV数を尋ねられることがあるが、
昨年12月の月間PV数は129,627だった。
その前月の11月は121,008と、2か月連続で12万を越えることができた。

ちなみにこのPV数にはファッションスナップドットコムへの転載分は含まれていない。
正味のこのブログのPV数のみであり、ファッションスナップへの転載分のPVは実は筆者には知らされていないのでわからない。

このブログは2010年の10月から開始しているので、丸4年が過ぎたのだが、
この2、3年はだいたい月間PV数は65,000~80,000をうろうろしていた。
一昨年までは平均で月間PV数は70,000強というところだったが、昨年の夏場以降はずっと80,000PV台を維持できるようになり、10月は96,000にまで増えた。

今年はこのまま毎月100,000PVを維持できればありがたい。

ちなみに2015年1月5日朝時点での累積訪問者数(PV数ではない)は215万人強で、この4年強の間に大変多くの方に訪問していただき、誠に感謝の気持ちでいっぱいである。

そんなわけで新年最初は何を書こうかと迷った。

長らくメインで取材を続けていたジーンズ専業メーカーのことからスタートしたい。

円安傾向の加速と中国の人件費高騰から、にわかにアパレルの国内生産(縫製、加工)が注目され始めたが、実際のところ自社の縫製工場を所有しているアパレルはそれほど多くない。

かつてのジーンズ専業メーカーの多くは自社で国内縫製工場を所有していた。
しかし、倒産・廃業や企業規模縮小に従って、自社国内縫製工場を手放す企業も増えた。

現在、ある程度の本数を製造できる国内自社縫製工場を持っているジーンズメーカーはほんの一握りである。
エドウイン(リーも含む)、カイタックインターナショナル、ブルーウェイ、ドミンゴ、ジョンブル、タカヤ商事、ベティスミスくらいだろうか。

せっかくの資産をもっと自社の販促、PRに生かすべきであると以前に書いたことがある。
自社工場を所有していないのに、国内の生産工場で製造しているとアピールしているブランドは数多くある。
例えば、何年か前のライトオンは自社ブランド「バックナンバー」でメイドインニッポンのジーンズを発売していた。その際、工場風景の動画をウェブサイトで流していた。

また、無印良品は昨年春からメイドインジャパンジーンズを展開しており、店舗によっては「ジャパンデニム」の説明を書いた大型パネルを展示していた。

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(昨春の無印良品の大型パネル)

両ブランドとも自社工場は所有していない。
こういう例は探せばまだまだ出てくるのではないだろうか。

昨年秋に、某ジーンズメーカーから「自社縫製工場の所有をどのようにPR・販促に活用したら良いですかね?」と尋ねられたことがある。

その答えの一つは上で書いた両ブランドの手法である。

自社縫製工場の動画を撮影し、自社ウェブサイト上で流す。
そういうことを書いたり、画像を掲載したパネルやPOPを作って取り引き先店舗に配布する。

目新しい手法ではないが、確実で分かり易い。

ただ、気を付けないといけないのは、専業メーカーのスタッフは専門的になりすぎて、事細かに説明しすぎたり動画の時間が長すぎたりしてしまうことである。
業界紙の記者に説明したり見せたりするわけではないから簡略に手短にまとめるのが正解であろう。

例えば縫製現場の動画なら、せいぜい長くても2分程度で良い。
まさか30分も1時間も延々と流し続ける必要はない。
消費者に向けて縫製ドキュメントをしているわけではないのだから。

ドラマや映画以外の動画を興味を持って見続けられるのは数分が限界だろう。
それを越えると見ている方が辛くなる。

またパネルやPOPを製作する場合でも同じである。
縫製の手順を事細かに記す必要はない。
そんなものは業界紙か専門書に任せておけば良い。

そしてつまらないタレントと契約して何千万円のお金を使うなら、そのお金をこういう製作物に使用する方が効率的である。

2000年代半ばまでは、シーズンごとにタレントと契約を結ぶことが販促的に効果があった。
これはジーンズブランドに限らずである。
しかし、2000年代後半以降は、タレントとの契約はそれほど販促に効果をもたらさなくなった。
今でも契約締結発表時にはそれなりのニュースになるが、だからといってそれが売上高につながるわけではない。つながっているのなら、ジーンズナショナルブランド各社はここまで売上高を減少させていないはずである。

ハリウッド映画スターやジャニーズ事務所の人気タレントにジーンズを穿かせて効果があったのは2000年代半ばまでのことで、その手法に効力がなくなってすでに10年が過ぎている。

昨年9月にエドウインの大塚丈二・新社長にインタビューする機会に恵まれた。
その席上で、大塚社長は「販促・PRの手法も見直したい。人気タレントと契約するよりも直営の東北地方の13工場をクローズアップする方が有効ではないかと考えている」というような意味のことを述べられた。
全面的に同意である。

諸般の事情から、すぐさま実行というわけにはいかないのだろうが、できるだけ早期に実行していただきたいと切望している。

そのような考えに立脚した販促を展開して、他のジーンズ専業メーカー各社も復活を目指してもらいたい。

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