南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

後任を決めずに社長が辞任する異例事態となった三越伊勢丹

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 予定を変更して(予定なんてないけど、言ってみただけ)今日はこの話題に触れたいと思う。

三越伊勢丹HD、大西社長が辞任へ 多角化の成果出ず
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ05H6O_V00C17A3MM8000/

 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(61)が3月31日付で辞任することが5日わかった。傘下の事業会社、三越伊勢丹の社長も同時に辞任する。消費者の百貨店離れが進むなか、事業の多角化を目指す構造改革で成果を上げることができなかった。後任の社長は週内をめどに社内から選ぶ方向で調整し、石塚邦雄会長(67)は当面続投するとみられる。

 大西氏は2012年に三越伊勢丹HDの社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店などに取り組む一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京・千代田)といった外部企業との提携も推進してきた。

 ただ、17年3月期の連結営業利益は前期比28%減の240億円となる見通し。急速に事業分野を広げる大西氏に対し、社内からは「少ない人数で運営している現場への負荷が大きい」との指摘も多かった。

とのことで、直近の業績急低下を見ていると、引責辞任もやむなしだと感じられてしまう。

昨年、6回に渡ってインタビューをさせていただいたこともあるので、今回はこのニュースについての感想をまとめてみたい。あくまでも個人的な感想である。

記事中で挙げられている多角化の事例のほかに、外食産業のトランジットジェネラルオフィスとの合弁会社設立や旅行会社ニッコウトラベルの買収などもあり、2012年の就任以来、百貨店のみでは限界があるとしての多角化を進めていた。

今回の辞任発表は、多くの方々が指摘しておられるように後任を決めないままの辞任発表なので、かなり異例で異常な事態だといえる。

同社の決算は3月期で、5月に毎年決算発表がある。
実はそれに向けて、新経営計画を策定しており、決算発表前に一度聞かせていただけそうな話もあった。

それだけに今回の辞任発表はかなり突発的な何かが内部で起きたと考えられる。

個人的な印象では昨年秋口からムードが変わったと感じる。
というのは、東洋経済オンラインに社内の反対派の大西改革への否定的なコメントが掲載された。

そのときに「ああ、業績に陰りが出て、反対派の活動が活発になってきたんだなあ」と感じ、下手をすると反対派に足元をすくわれることがあるかもしれないとも感じたが、それが現実になったということだろう。

知り合いの某経済誌記者にその話をすると、「実は大西反対派の愚痴みたいなものは以前からも頻繁に寄せられていた」との返事があったので、以前から根深い対立があったのだと改めて感じた。

業績の急低下の原因はいくつかあるのだろうけど、目に見えての大失敗は銀座三越店の改装だろう。
爆買い重視の改装だったが、改装オープンと同時に爆買いのムードは終結した。
その結果、中国人は来なくなり、日本人客も離れた。

インタビューでは、大西社長自ら「中国人客を重視しすぎて、日本人の富裕客層の上位3割が離れた」と認めておられた。

大西社長が提唱された改革の中身が正しかったのかどうかはわからない。
最終形態にたどり着いておらず、結果がわからないからだ。

しかし、方向性の正誤は別として、百貨店が今までのままで生き残れる可能性はほぼないから、何かを変えねばならなかったことは事実である。

トランジットとの合弁会社による、新規外食店はやっと今年4月に第1号店オープンが発表されたばかりである。

シドニー発のイタリアンダイニング「フラテリ パラディソ」を4月末に表参道ヒルズにオープンするとのことだが、筆者のような田舎者にはシドニー発のイタリアンというのはなんだか微妙なフレーズだと感じられてならない。たとえて言うなら、「東京発の本格中華料理」みたいな感じを受けてしまう。

まあ、中身はともかくとして第1号案件がやっと決まったばかりだ。

また、以前から旅行業強化を掲げていて、先日、ニッコウトラベルを買収したばかりである。

改革プランの良し悪しは別として、やっと形になったばかりのものも多かった。

これらの案件は、社長が辞任することで、間違いなく方向転換は強いられるから、当初に描かれていた完成形態にたどり着くことはできなくなった。
逆にすべての合弁事業が中途半端な尻すぼみで終わってしまう可能性も極めて高い。
尻すぼみで終わればかえってホールディングスの収益を圧迫することになり、三越伊勢丹HDはかなり厳しい状況に追い込まれると個人的には見ている。

じゃあ、これまで通りの三越と伊勢丹のやり方、ひいては百貨店のやり方を継続していればよかったのかというと、その選択肢がありえないことは誰しも認めるところだろう。
現に、「これまで通りのやり方」で百貨店の業績は低下する一方だったから、そのやり方は間違っていたということである。

残念ながら、三越に往年の勢いはすでにないし、伊勢丹のファッション特化路線は新宿本店以外で成功したためしがない。

名古屋のイセタンハウスも苦戦しているという話しか聞かないし、大阪・梅田のルクアイーレの伊勢丹コーナーも縮小されている。JR京都以外の地方店では伊勢丹は連戦連敗である。

伊勢丹はトップから現場まで東京大好き人間で固められている。
大西社長自身だって、著書で明かしておられるように、就職する際、東京にあるという理由で伊勢丹を選んでいる。

東京大好き人間だけで固められた百貨店が地方民の需要を正確に把握できるはずがない。
伊勢丹新宿店のような「先端ファッション」を求める人数は地方には少ない。
そもそも各地方の人口は首都圏の足元にも及ばない。
ファッション大好き人間の比率は変わらなくても、分母が少なくなれば実数も少なくなる。
それだけのことである。

三越も変わらない、伊勢丹も変わらないということを反対派が選択したのなら、三越伊勢丹HD自体も三越という暖簾も伊勢丹という暖簾もこのまま衰退することになる。

百貨店という業態も、変わらないなら売上高はこのままどんどん低下し続ける。

今回の異例の事態はそんな未来を確実にしてしまったのではないか。










スカパーの番組収録に参加してきた話

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 個人的なことを告知するのもどうかと思ったし、自分の顔立ちが好きではないので、なるべく自分の写真や動画は見たくないのだが、3月5日放送のテレビ番組に出演してきた。

2月に収録は終えているのだが、自分の動画をモニターで映されてこちらからも見ることができるというのは、何とも奇妙なもので、やっぱり整形と植毛をすべきだったなあと自己嫌悪にかられるばかりだった。

地上派ではなく、スカパーの「モノクラーベ」という番組である。

https://www.bs-sptv.com/monokurabe/

お薦めはしないが、興味のある方は見ていただきたい。

数年前まで放送されていた「モノ比較」番組「ホコタテ」の類似番組である。
今回のお題は、スーツで、青山とアオキのウォッシャブルスーツの物性比較をしている。

昨年末くらいになぜか筆者に出演依頼があり、「スーツは専門ではない」とお答えしたのだが、繊維や生地に関することや基本的なことにコメントをくれれば良いというので、恐る恐る引き受けた次第である。

最初は、5分か10分くらい、別画面でコメントを流されるだけなのかと思ったら、スタジオでずっと座っていてもらいたいということで、なんだかえらいことになってきたなあと少し後悔した。

それにしても、メンズのスーツというのは奥が深く、ディティールやシルエット、素材、副資材に至るまで恐ろしく専門性が高い。
初歩の初歩くらいは知っているが、スーツの専門家とは比べるべくもない。

じゃあ、もう一度基本から勉強しなおそうということで、自分なりにいろいろと調べ直したが、やっぱり不安である。

でも引き受けた以上は、スタジオに行かなくてはならない。

そんな感じでスタジオに入った。
結果からいうと、そういう奥深い話は要求されず、青山とアオキのウォッシャブルスーツの耐久性実験の結果についてコメントを求められるくらいだったのでちょっと拍子抜けするとともに、安堵して収録を終えられた。

やれやれ。

それにしても、番組の収録というのはもっと細かいキチンとした台本があってそれに沿っているのかと思ったが、今回は非常に緩やかな台本しかなかった。
また、質問内容も事前に細かく決められるのかと思っていたが、ほとんどアドリブみたいな感じで質問を受け、当然こちらもほぼアドリブで返している。

今回の場合に限ったことなのかもしれないが、想像よりもはるかに緩やかな製作進行だった。

どうして筆者に依頼があったのかも尋ねたが、「両社にしがらみがなく、公平なジャッジをしてくれそう」という趣旨の返答をいただいたのだが、たしかにそれはそうだと苦笑するほかない。

メンズ衣料品の業界には格段に造形に深い方々がおられるが、多くは青山、AOKIどちらかの事業に携わっておられる。そういう立場ではなかなか言いにくい事柄もある。

筆者はどちらの事業にも何のかかわりもないからしがらみもない。
ああ、仕事のない悲しさよ。である。


出演しておきながらこんなことをいうのもアレだが、筆者はスカパーに加入していない。
もちろん正直にそれを伝えたところ、毎月第1日曜日はスカパーが無料視聴できる日なので、見ていただけますよとのことで、そんなキャンペーンがあることすら知らなかった。

放送終了してから後日、番組を収録したDVDを送ってきてくださるそうなのだが、記念として保管しておくが、自分の不細工な顔の動画を見ることはないと思う。
自分で自分が動いている姿を見るのは、精神衛生上良くない。

まあ、そんなわけで、今日はお気楽な告知でした。







実店舗の衣料品販売が苦戦する理由は「プロとしてのアドバイス」が足りないからでは?

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 正直にいうと、洋服のレンタルサービスに魅力を感じない。
だから今後も利用することはないと思う。筆者が今購入している洋服の価格を考えると、レンタルするよりもはるかに安い投げ売り品を買っているから、価格的なメリットはあまりない。

それでもレンタルなら返却できるから、保管スペースを省略できるというメリットがあることは理解できる。

昨年末の衣替えから、断続的に要らない服をピックアップして、中古衣料品の回収サービスを行っているユニクロやライトオン、無印良品に何度か持ち込んで保管スペースを少し回復させたが、それでも「捨てようか残そうか」迷っている服はいくつかある。

春夏物に衣替えしたらまた断続的に持ち込むことになるのではないか。

洋服のレンタルサービスがじわじわと市場を拡大しており、その要因はあまり理解ができなかった。

先日、アエラの記事を読んで少しだけその理由が理解できた。

服は買うより借りる方が得なのか? 安さだけじゃない人気の秘密
https://dot.asahi.com/aera/2017022400038.html?page=1

この中で、

スタイリストとLINEを通して服装への悩み、週末の予定に合う服装は何かなどを相談できる。個人の好みに合わせて、スタイリストが似合う服を選んで送ってくれる仕組みだ。1回で6万円相当の洋服が入っていてお得感もある。

という部分がある。

メディアの多くの悪い点は、まず価格での切り口から始まる点にある。
6万円相当の洋服が入っていてお得感があると書いているが、借り手からしたら「適切なコーディネイトを適切な分量だけ送ってくれる」ことに価値を見出しているから、1回に6万円分の洋服が入っていようが、2万円分の洋服が入っていようがあまり関係ない。

定価で買うと6万円の物が借りられてお得ということが、レンタルがじわじわと売り上げ規模を拡大している理由ではないだろう。

そのコーディネイト提案が適切なら、極端な言い方をすれば1回1万円分の洋服だってレンタル会員は満足するだろう。

それよりも各レンタルサービスが、それなりに支持を得られ始めているのは、スタイリストが個人の好みに合わせたコーディネイトを提案してくれ、洋服への相談ができるところにあると考える方が適切なのではないか。
記事でもその点については、

これらのサービスが利用者に喜ばれている理由のひとつは、定期的にプロからの個別アドバイスをもらえることだ。これまでのパーソナルスタイリングは、費用もハードルも高い印象があるが、ネットを使って低価格で気軽にスタイリストとやりとりをするサービスも登場している。

と指摘している。

こう考えると、実店舗での洋服の販売が不調な原因の一つには、これが足りないのではないかと思う。

今でこそ、低価格ブランドの投げ売り品ばかり買う筆者だが、昔は百貨店やセレクトショップでも買っていた。
はじめて着るような洋服は自分がそれが似合っているのかどうかわからない。

自分では似合っていると思っても、他人から見れば似合っていない場合もある。

自分で鏡を見たときには「俺もまんざらではない」と思うが、写真や動画で自分を見ると、ひどいブ男だったというのと同じである。

そんなときに、販売員に「これで良いのだろうか?」と尋ねたが、満足できる返答だったのは体感的に4割くらいだろうか。

「とりあえず売っておこう」というお薦めが何度もあった。

とくに大手のチェーン店では価格の高低に関係なく、販売員のスキルにはバラつきがある。
誰でも最初は新人で知識がないものだが、大手のチェーン店の販売員にはそういう知識のない人も多い。
だから意味のわからない接客トークをしてくる。

例えば、ジーンズを見ていた筆者に「それ、デニムなんですよ」と声をかけてきた大手セレクトショップの販売員もいたし、少し商品のデザインについて尋ねただけで、その商品の歴史的背景から今現在のパリコレの傾向についてまで延々と講釈を垂れた低価格店の販売員もいた。

販売員のなり手が少なく、アルバイト募集で急場を凌いでいる店舗も多いから、そういうレベルの低い販売員が
少なからずいることは仕方がない部分もある。

しかし、実店舗での洋服販売が価格の高低を問わずに不振なのは、レンタルサービスが導入しているようなサービスが足りていないからではないかと思う。

逆にいえば、そういうコーディネイト提案ができ、パーソナルスタイリストのようなコンサルティング能力のある販売員は今後、重宝がられるということでもある。

世間で支持されるサービスは、やっぱりそれなりの理由があるということを再認識した。

とはいえ、筆者が今後、洋服をレンタルすることは一生ないだろう。(笑)



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