南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

夏服をかっこよく着こなすには体型を整えるほかない

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 当方は夏が嫌いである。
まず高気温が嫌いだし、高湿度も嫌いだ。
汗をかきやすいので、汗が大量に出るのも嫌だ。

個人的な理想の夏は、25度に温度設定した冷房のきいた部屋から外に出ずに一日中過ごすことである。

ちなみに35度を越える高気温、70%以上の高湿度の環境でありながら、冷房温度28度設定なんていう取り組みをやっているのは日本くらいで、アメリカは華氏70度(摂氏21~22度)くらいの温度設定が標準的だといわれており、ヨーロッパでもだいたい24度くらいだといわれている。

日本よりも高温高湿度な東アジア・東南アジアではもちろん欧米並みに冷房温度設定は低い。

着る物についても夏は嫌いで、メンズのカジュアルだとTシャツ、ポロシャツ、半袖シャツくらいしかない。春秋冬だと、重ね着でいろいろと楽しめるし、体型なども誤魔化せるが、夏服は誤魔化しが効かない。
それでも誤魔化す方法はあるが、春秋冬の重ね着に比べると、誤魔化し効果は些少であり、せいぜい3%~5%上乗せできれば良いところだろう。

そんなわけで、今夏はバーゲンでもほとんど服を買っていない。
靴とか時計とかバッグとか肌着とかそういう物の方に目が行く。

先日、今夏初めてアウター用のTシャツをバーゲンで買った。

無印良品で、太番手ボーダー柄のTシャツを買った。
定価で1990円だったのが、先週、やっと30%オフの1393円に値下がりした。

IMG_3206




無印良品は変な部分があり、店舗によって商品の値段が異なることがある。
ネットの書き込みではさらに10%オフで買った人もいるらしい。


細いボーダー柄もあったが、個人的には細いボーダー柄はあまり似合わないので、太いボーダー柄を選んだ。
黒×白と、薄グレー×白があったが、汗をかくとグレー部分が濡れて色が濃くなるので、汗かきとしてはグレー系のTシャツは夏は敬遠する必要がある。そのため、黒×白を選んだ。

2005年ごろからハリウッドセレブブームだか何だかしらないが、細番手(細い綿糸)で編んだ薄手生地Tシャツが主流となったが、汗かきのオッサンにとって、真夏の着用は適さない。
なるべく厚手生地の商品を選んで買うようにしているが、商品自体があまり存在しなくなってきた。

単に綿花の使用量をケチっているだけではないかと邪推すらしたくなるほどである。

一般に広く流通している薄手生地Tシャツはだいたい4オンスか5オンスくらいが多い。
触感だけだと最近の薄手Tシャツは4オンスくらいではないかと感じる。

汗かきのオッサンに好ましいのは、6オンス以上の商品でこれがなかなかない。
2005年以前だとけっこう厚手のTシャツは流通していたのだが、いつの間にやら消え去ってしまった。

話は逸れるが、ある生産業者によると、2005年以降、衣料品に使われている素材は随分と劣化しているそうだ。
原因はさまざまある。

1、製造の低コスト化が求められるようになったこと(業界の都合)
2、すべての原料が高値になった

が個人的には最大の要因ではないかと見ている。

1は低価格対応、もしくは価格は据え置きで利益確保のための製造コストの削減が多く求められるようになり、使用素材ももちろん低価格化しているということである。

これは洋服の販売が不振になったことから、それに対応するための業界の都合であることは言うまでもない。

2は中国、東南アジア、インド、中東などの経済成長によって、衣料品需要が拡大していることが原因である。
アパレルの世界市場規模は300兆円にまで拡大したという報道があるが、その多くは中国、東南アジア、インドなどの市場が拡大したためで、需要の増加に対して供給量が追いつかなければ価格は上がる。衣料品の原料が高騰したのも同じ理由である。

綿花や麻の栽培量は需要に比例するほど増えていないし、羊毛はさらに増やしにくい。
動物の方が植物よりも増やすことが難しいからだ。

必然的に原料価格は上がらざるを得ない。

そんな状況から2005年以降、衣料品に使われている素材のクオリティは劣化が著しいのだが、たしかにその指摘にはそう思う。

同じ価格帯で2005年までに買った衣料品と、2005年以降買った衣料品を比べてみると、明らかに生地のクオリティが違う。
2005年以降の方が合繊の配合率が高まっていたり、低密度だったり、安物くさい表面感だったりする。

だから、その業者に言わせると、2005年以降の商品しか知らない若い世代は良い素材に触れる機会が減って気の毒だという。

閑話休題。

今回の太番手ボーダー柄は太い糸が使われているため、がっしりした触感がある。
生地は期待したよりも薄い感じがするが、定価1990円という低価格を考えると仕方がない。

それにしても夏服を着ている人を見ていると、自分も含めて体型の誤魔化しようがないと感じる。

春秋冬は重ね着で体型は随分と3割増しくらいで誤魔化せるが、夏服はモロに体型が出る。

「夏服をかっこよく着こなすコツ」なんていう特集がファッションメディアに掲載されるが、実際のところ夏服をかっこよく着こなすコツは、体型を整える以外にない。

肥満や極端なガリはどうにも誤魔化しは効かない。ボディビルダーのようなゴリマッチョが良いかどうかは別として、ある程度の筋肉は必要である。
さらにいうなら顔面も整っていなくてはならない。

結局、男女ともに夏服は、顔立ちが良くて体型の整っている奴がもっともかっこよく見える。

だから、夏服は嫌いなのである。


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なぜ昔はファッション業界に入る若い人が多かったのか?を考えてみた

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 そういえば、先日、「ファッション業界に若い人が入ってこないのが問題だというが、それよりも昔はどうして若い人が入ってきたのかを考えてみてはどうか?」という意見を目にした。

昔はどうしてファッション業界に若い人が大勢入ってきたのか?
これはいろいろな要因があって、当方一人で考え付くのは限界があるが、思いつくままに挙げてみる。
あとは各人で補足してもらうとありがたい。

1、成長産業、もしくはカッコイイ産業だと社会がみなしていた
2、今に比べて若い人の人口が多かった
3、ドンブリ勘定の横行する緩い業界で入り込みやすかった

ざっとこんなところではないかと思う。

1についてだが、戦後直後のガチャマン(ガッチャマンではない)時代、高度経済成長期、バブル期と繊維・ファッション産業は金回りの良い業界だった。

金回りの良い業界に人が集まるのは今も昔も、どこの国でも変わらない。
金回りが良いということ自体が人を集める装置となる。

ガチャマンというのは、紡績や合繊メーカー、織布工場などの素材メーカーが活況だったころで、ガチャと織機が動けば、万のカネが生まれるからガチャマンと呼ばれた。
1950年代のことである。

その後、大量生産・大量消費による既製服ビジネスが生まれ、アパレルメーカーが花形成長産業となった。何しろ、敗戦によってみんなが物を持ってない時代だから、作れば売れた。
とくにカジュアル洋服はこれまで戦前・戦中を通して日本には存在していない商品だったから、作れば売れたのは当たり前だ。
初期のiPhoneが高値でも飛ぶように売れたのと同じである。

70年代の高度経済成長によって国全体が経済成長し、人々の暮らしが上向き、80年代にはバブル景気を迎える。

このころまでは、各人のタンス在庫は少なかったし、経済成長で国全体のムードが明るかったから、少々高い服でも売れた。今の中国や東南アジアと同じである。

バブル崩壊直後も不況感はそれほど強くなかった。
世間のムードが変わったのは97年の山一証券・北海道拓殖銀行の倒産からである。
大手金融が倒産する日が来るとはそれまでは多くの人は思っていなかった。

今の我が国に70年代・80年代のような洋服の売れ方を期待するのは間違っている。みんなかなりのタンス在庫を抱えているので、今後、我が国の景気がどれほど回復しようとあんな買い方は二度と戻ってこない。

まあ、バブル崩壊までは、アパレルというのは成長産業・花形産業だとみなされていた。

この「みなされる」という非常に大きな要因で、時代によって同じ職業でも「みなされ方」が異なる。

先程の提起をした方は、35歳くらいなのだが、その年代になるとかつて横行した「デモシカ教師」をご存知なかった。

現在だと、教師や地方公務員は手堅い職業として人気が高いが、かつて、高度経済成長期やバブル期は、優秀な学生は給料がうなぎ上りの民間企業に就職してしまい、地方公務員や教師は、落ちこぼれや変わり者が「教師(地方公務員)にシカなれない」「教師(地方公務員)にデモなろうか」という感じで職に就いたので、デモシカと呼ばれた。

今とは「みなされ方」が180度、いや540度違っている。

繊維・アパレル産業もその当時と今では全く「みなされ方」が逆転してしまっている。

2についてだが、年代別の人口の多寡もあるのではないかと思う。

当方は1970年生まれだが、その年には193万人が生まれている。
73年生まれは210万人弱もいる。

http://shouwashi.com/transition-numberofbirths.html

一方で、就職を控えた96年生まれは120万人しかいない。

73年生まれと比べると約半分である。
ということは、単純に人口だけで考えても各業界へ就職する新卒は大きく減って当然といえる。

ちなみに47年生まれ・48年生まれはそれぞれ270万人弱ずつもいるし、52年までは毎年200万人をはるかに越える人口が生まれている。これがいわゆる団塊の世代である。

新卒の人口は年々減っているが、人気の職種・業界への競争率は高いままである。
例えば地方公務員なんて逆に競争率は年々上がっている。

となると、その割を食って志望者が減る業界が出てくるのは当然で、その一つがアパレル業界だといえる。

また、これは大先輩のご指摘だが、高度経済成長期からバブル期にかけて、我が国は重厚長大産業や金融業が発達した。そのため、優秀な学生はそちらに就職するようになり、その傾向は今も続いているともいえる。
産業間の人材獲得に繊維・アパレル業界は敗れ去ったということである。

それでもバブル崩壊までは就職者数が多かったというのは、新卒人口が多かったからだろう。
また、97年ごろから始まる就職氷河期には、優秀な学生でも企業には就職できなかったので、不承不承アパレルへ流れてくることもあった。
非正規でやるよりは、不承不承ながらアパレルでも正社員になった方が良いという判断で、その判断自体は間違ってはいないと思うが。


3については、本当にかつてはドンブリ勘定な業界で、その分、独特の緩い雰囲気があって、低学力の学生でも入り込みやすいということがあった。

しかし、今はかなり厳格に数値管理されるようになり始めており、「私、数字嫌いやねん」とか「俺、分数と小数の計算ができないっすよ」というような学生が入り込みやすい雰囲気ではなくなっている。分数と小数の計算は必須である。

企業側もよほどの事情がなければ、そんな低学力の学生を採用しようとは思わない。

これらの要因が重なりあって、アパレルには若い人が入ってこなくなっている。
じゃあどうすれば良いのかというと、各社が自助努力するしかあるまい。
決算実績を伸ばして、待遇を良くする。それしかない。

逆にいうと、ファッション業界に若い人が入ってこなくなったというのは、果たして問題なのかという疑問もある。

不人気産業に人が集まらないのはアパレルに限らず、当然であり、そういう産業はいずれ消えている。そうでなければ、いまだに江戸時代や明治時代の職種が今でもすべて残っているということになる。

人間は裸で生活するわけにはいかないので、今後も衣料品業界がゼロになることはない。しかし、不要な企業やブランドはさらに淘汰されることになる。それを回避したいなら、各社が自助努力するほかない。

若者が業界に集まらないのは若者に問題があるのではなく、業界の方に問題があるからだ。

今のアパレル業界は、低学力者にとっては入りづらく、高学歴者にとっては入る魅力が少ない業界ということなのだろう。


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業界人ですら衣料品への知識が浅いのだから、消費者の知識はさらに浅くて当然

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 断続的に売り場に立っていると、毎日必ず着用しているものなのに、一般消費者は衣料品に関する知識は驚くほど持ち合わせていないことがわかる。

いわゆるファッソニスタがいうようなテイストやらデザインやらシェイプやらに関してではなく、生地に関することだったり洗濯に関することだったりで、こちらの方はファッソニスタの御託とは異なり、生活とは密接にリンクしているはずなのだが。

先日、50代後半と思われる黒で統一したモードっぽい服装をしたご婦人が商品を買った。
非常に言葉遣いも丁寧な方だった。
買ったのは、いわゆる真っ黒のストレッチパンツである。

話は逸れるが、真っ黒のストレッチパンツとストレッチのブラックデニムパンツは、厳密にいえば生地が異なる。

生地の知識を持ち合わせている方は読み飛ばしてもらいたい。

通常の真っ黒のストレッチパンツもストレッチブラックデニムパンツも「綾織り」という織り方で織られた生地である。
織り方としては同じである。

しかし、真っ黒のストレッチパンツは経糸(たていと)・緯糸(よこいと)ともに黒い糸で織られているが、ブラックデニムは、経糸が黒・緯糸が白である。

真っ黒のストレッチパンツに使われる生地は、ツイルとかカツラギとか呼ばれる綾織りの生地が多い。

通常のストレッチパンツは綿が主体でそこにストレッチ素材が交織されている場合が多い。
表示としては綿98%・ポリウレタン(正確にはポリウレタン弾性繊維)2%くらいのものが主流だ。

そのご婦人が買ったのは、まさに綿98%・ポリウレタン2%という組成の黒いカツラギパンツだった。

そのとき、ご婦人がこう質問された。
「このズボンは洗濯すると色落ちしますか?」と。

恐らくブルーデニムのように、他の洗濯物に色移りするかという意味だったと思うのだが、カツラギの多くは移染しにくいので、そのように答えた。

しかし、質問にはもう一つの意味もあったようで、「洗濯をすると、ブラックが薄くなりますか?」との意味も含んでいた。

こちらにはちょっと驚かざるを得なかった。

なぜなら、50代後半ということはこれまで何度も様々な衣服を洗濯してこられたはずだ。
(もしかしたら超金持ちで、「アテクシは洗濯なんてしないわ、毎日全部クリーング屋に任せています」という人なのかもしれないが)

綿主体の衣服は洗濯を繰り返せば徐々に色落ちするのは、少し洗濯をしたことがある人ならそれは常識として持ち合わせているはずである。
にもかかわらず、それを質問してくるということは、それを認識せずにその御年まで生きてこられたということになる。

これも自分の経験からだが、綿素材で洗濯を繰り返せば徐々に色落ちすることは避けられない。
ポリエステル素材なら家庭洗濯を繰り返しても色落ちはほとんどない。

洗濯層の中で他の衣類と擦れて摩擦することがさらに色落ちに拍車をかけているといえる。
だから、ネットに入れて洗濯をすれば、色落ちは幾分かは緩和できる。

だから、黒や紺などの濃色の綿素材衣服は必ず洗濯ネットに入れて洗濯をするようにしている。

そのように伝えた。

それにしても、一般消費者の生地・洗濯に関する知識のなさには驚かされる。
一般消費者が悪いのではなく、それを伝えてこなかった・上手く伝えられなかった業界に責任があるのではないかと思う。

家事を得意とする方は、そういう法則を自分で発見されているようだが、それはどちらかというと少数派だ。
多くの人は、綿素材で洗濯を繰り返せば色落ちするかどうかすら知らない。

そこらあたりを啓蒙するような活動を業界がしてみてはどうだろうか?
モンスタークレーマー対策としては、すべての衣服は洗濯できないという表示にするに越したことはないのだが。

家庭での手入れのやり方がわかると、もしかしたら衣料品の購入も多少は増えるかもしれない。

自分も含めて業界にいる人の知識のあやふやさも業界の衰退を早めているのではないかとも思う。

先日も有名なファッションブロガーが、織物(布帛)と編み物(ジャージ)を間違うということがあった。昨今では、洋服づくりに直接携わっているデザイナーや企画担当者までがこの手の知識を持ち合わせなくなっている。

スポーツウェアメーカーの若手社員が、業界紙記者に対して「ポリエステルって何ですか?」と質問してきたこともあるくらいだ。

自動車やらパソコンやらの業界でそういうことはあるのだろうか?
傍から見ていると、衣料品業界よりは随分と各人がしっかりした商品知識を持ち合わせているように見えるのだが。


オムニチャネルが云々とか、サステナビリティがどうのこうのとかエシカルがナンタラとか、そんな宙に浮いたようなことよりも、崩れかけた足元を固め直す方が先決ではないのか?
発射する土台が崩れかけているのに、空中戦ばかり志向していても飛び立つことすらできないのではないか。

業界が衰退しているのは、土台となる商品知識が崩れかけているからではないのか?


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