南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

保温肌着あれこれ。フィット感が重要

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 肌着メーカーによると、もっとも肌着が活発に動く季節が冬だという。理由は保温肌着である。逆に夏の吸水速乾肌着はそこまでの動きではないようだ。
しかし、今年夏ユニクロが「サラファイン」という夏向け肌着を発売したので、来年以降は夏肌着の動きがどうなるかはわからない。
余談だが、サラファインには旭化成のキュプラという素材が使用されている。サラファインが増産出来なかった理由はキュプラの生産が追い付かなかったと言われている。

さて、保温肌着の代名詞ともなりつつあるユニクロの「ヒートテック」だが、自分はパッチを1枚持っているのだが、それほど暖かいとは感じられない。1枚穿いた分だけの暖かさは実感するが、よく言われるように「汗をかいてしまう」ほどではない。別に普通のパッチでも同じではないかと思う。



 自分がときどき、コメントを発表させていただいたり、ショップレポートをさせていただいているモノ批評雑誌「monoqlo」(晋遊舎)という雑誌がある。古い記録で恐縮だが、この雑誌の今年1月号で、自分の担当ではないのだが各社の保温肌着を比較しているコーナーがある。
横浜国立大学の藤本弥生准教授(当時)のコメントによると「各社の保温肌着に使用されている多くの素材は、アクリレート系吸湿合繊を原料としており、さほど違いがない。違いは他繊維との混紡率である」という。

実は大概の繊維には吸湿発熱する性質がある。その温度が高いか低いかだけの違いで綿(コットン)でも実際は水分を吸着し、熱を放出する。吸湿発熱のアクリレート系繊維が開発されるまでは、ウールが保温肌着に使用されていた。
他繊維とアクリレート系吸湿繊維との棍棒素材の発熱効果自体は、綿やウールと変わらないという実験結果もあるという。


で、この号ではユニクロを含めて6社の保温肌着が比較されていたが、サーモグラフィーによると6社間で大きな差は出ていない。ただ、体感温度に差が出たのは着用時のフィット感にあった。フィット感が高い方が暖かく感じられる。薄手素材で肌に張り付く製品を「暖かい」と感じるようである。とくに袖口がピタっと貼りついている物の方が暖かいと感じやすい。

極言すれば、素材自体の発熱効果はヒートテックもヒートファクトもウォームファクトもブレスサーモもウェルサームもヒートファイバーもそれほど変わらないということになる。あとは自分の体型に合ったフィット感の物を選ぶことが重要となる。

ソフトタッチアクリルニットが大人気

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 今秋冬はニット(セーター類)が大人気だ。いわゆるセーターをニットというが、業界では編物全体をニットということもあり、非常にまぎらわしい。編み方によって横編み、縦編み、丸編みとある。
自分の中では、一般のセーターは横編みで編まれるケースが多いように思う。(ニットにくわしい方、ご意見ください)


さて、冬物のセーターのメイン素材はウール(羊毛)だと考えている。高級セーターはウールではなくカシミヤが使用され、低価格品は化合繊のアクリルが使用されると認識している。
レディースアパレルの取材をすると、とくに1900~3900円くらいまでの低価格ブランドのセーター類で、今秋冬はウールが一切入っていないアクリル100%が増えているように感じる。
もしかしたら、もう何年も前からそうだったのかもしれないが、自分が愛用するユニクロのセーターはいまだに1990~3990円でも、ウールが主力素材なので、違和感がある。


今秋冬のアクリルニットで素材的に大ヒットだったのが「カシミヤタッチ」や「ソフトタッチ」と言われる肌触りの柔らかいアクリルである。これは何も目新しい物ではなく、イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーマーケット系の売場には数年前から並んでいた。
ジーユーの売り場にも並んでいる。

おそらく30歳後半以上の方々はアクリルニット=安物というイメージを抱いている。50歳代以上の方々はほぼ全員がそう考えていると思う。
実際に羊毛に比べるとアクリルは素材の値段が安い。化合繊は特殊な機能素材を除いて一般的に天然繊維よりも価格が安い。
例えば綿花の値段が高騰しているが、綿(コットン)の使用量を減らし、ポリエステルを配合すれば素材のコストが下がり、製品の値段は維持しやすい。

しかし、アクリルニットファンも間違いなく存在する。アクリルニットの利点は3つにまとめられると思う。

1、軽い
2、洗濯しやすい
3、ウール特有のチクチク感が少ない


である。

おまけに製品の値段が安い。

で、ソフトタッチアクリルニットの多くは、若い女性向けブランドから展開されている。
今の若い人は所得が少ないから安くて機能的であれば、アクリルニットでも構わないのだろう。それを指して「若い消費者の感覚が退化している」とは思わない。若者らしい、なかなか合理的な判断だと思う。
60歳代以上の人間が「若い世代の感覚退化」を嘆くのであれば、自分らが身銭を切って、若い世代の所得が増えるように、雇用促進の社会的取り組みをするべきであろう。
地位も名誉も獲得した老人が若い世代を非難するだけでは、何も解決しない。それは単なる自己満足に過ぎない。

ちょっと脱線。
ただ、40歳のオッサン(自分のこと)からすると、アクリルニットは何か味気ないと感じる。まあ、これもオッサンの郷愁に過ぎないのだけれども。
そのうちに、ウールセーター=オッサン、オバハンの服というイメージが出来上がるかもしれない。

綺麗事ばかりのプロフィールなんて・・・・

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 12年前のブランドデビュー以来、変わらずお付き合いさせていただいている「Si-HIRAI(スー・ヒライ)」デザイナーの平井達也さんが、「サンヴェットモン」というブランドのホームページを紹介してくださった。

平井さんによると「サンヴェットモン」デザイナーの水野直昭さんは、独立前の職場の後輩にあたるそうで、今でも交流があるという。
水野さんは、以前「ヴェットモン」というブランドを展開しておられたが、ブランドを休止してその3年後に、新ブランド「サンヴェットモン」として再デビューされたという経緯がある。

平井さんが注目されたのは、新ブランド「サンヴェットモン」のHPのブランドプロフィールの部分である。
http://www.saintvetement.com/brandprofile.html

画面は字が小さく文章が長いので多少読みづらいが、ブランドが変わるにいたった経緯、休止の間にしていたこと、新ブランドのスタンスが丁寧にインタビュー形式でマイナス面の要素も含めて書かれている。

元来「ヴェットモン」は大手企業の資本参加によって展開されていたブランドであったが、その企業が資本を引き上げたことからブランド休止に至ったという。ブランド休止後、水野さんはアパレル企業で3年間働いた後、再び「サンヴェットモン」を立ち上げた。
ブランドプロフィールにはさすがに「資本が引き上げられたから」とは語られていないが、「様々なところに問題が発生し、解決不能になり止めざるを得なくなりました」と素直に自分の言葉のように語られている。

また休止中についても「大量生産、大量消費を改めて学んで」と説明されている。

平井さん同様に、自分もなかなかに良い説明だと感じた。

通常、ブランドや企業の成り立ちは、とかく「きれいごと」しか語られていない印象がある。ましてや自社のHPやパンフレットにおいては、それこそ胸やけするくらいのきれいごとで埋め尽くされている場合が多い。
しかし、実際に取材をしてみると、マイナスの要素も含む紆余曲折を経て企業やブランドが成長してきたことがわかる。そういう話にはやはりリアリティがある。綺麗事で埋め尽くされたプロフィールにはリアリティがない。

少し誇張して表現する。

「○○ブランドは、開始数年後に、一旦経営が厳しくなりましたが、大手企業××の善意のみによって援助され、そこからもう一度がんばりました。そして20年後ようやく本社ビルを持つに至りました」

というような経歴説明がしばしばある。

しかしここには、なぜ経営が厳しくなったのかが説明されていないだけでなく、大手企業××の援助の意図がわからない。多くの場合、大手企業××が善意のみで援助するわけがない。またその後、20年間どのようにがんばったのかがまったく見えない。リアリティが皆無であるために、読み手に何の感動も印象も与えない。おそらく記憶にも残らない。


自分の(自社の)マイナス面をさらけ出すのは大変な勇気がいると思う。だからといって自社経歴やブランドプロフィールが完全な綺麗事に終始すると、読み手側にはまったく響かない。そういう意味では「サンヴェットモン」のブランドプロフィールはある程度正直にマイナス面をカミングアウトすることで、好印象を与えている。
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