南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ジーンズがアパレル全体に広まった理由

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 昨日紹介した週刊プレイボーイのユニクロ9990円ジーンズの記事内で、エドウインやリーバイスなどのジーンズ専門ブランド以外が広くジーンズという商品を生産できるようになった背景について「ジーンズ専門ブランドを退職して、ユニクロはじめとする各アパレルに就職する人が増えた」という説明がある。

これはまったくその通りで、ビッグジョンの尾崎篤社長も「ジーンズ業界のOBがアパレル各社に散らばったからジーンズがアパレル業界全体に広まった」とおっしゃっている。

ただ、記事内では「金銭による引き抜き」を理由として挙げているが、退職するのは金銭理由ばかりではないのが現状だ。
リーバイ・ストラウス・ジャパン社を除くジーンズ専門アパレルは、一族経営であり、創業から30~40年以上を経過している企業も多い。しかも企業規模はそれほど大きくなく数十億円内外がほとんどで、現在、売上高100億円を越えているのはエドウインとリーバイスだけである。

企業規模が大きくなく、一族経営、そして企業歴が古い。となると、多くの場合、「企業体質の古さ」「○○家の家業」につながりやすい。
極論を言えば、お父ちゃんが社長で、息子が専務、お母ちゃんが経理、従業員は何だかよくわからないが○○家の使用人。みたいな図式に陥りやすい。
こういう体質に合わなくて辞めていく若い人、そこでのコップの中の権力闘争に敗れて会社を去る人が数多くいる。しかし、彼らとて某かの収入は必要だから、自分の持っているスキルを次の仕事先で生かす。
それがたまたまユニクロであり、ジーンズ専門アパレル以外のアパレル各社だったということになる。

ジーンズ専門ブランドがジーンズ生産のノウハウを囲い込もうとすると、今よりも厳格な終身雇用制度を敷かない限り人材の流出は止められない。しかも業界自体の歴史が長いため、流出した人材も多数に上るということになり、ジーンズの業界全体への広まりは自然な流れといえる。誰が悪いわけでもない。

週刊プレイボーイのユニクロジーンズ記事に異議あり

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 今週発売した週刊プレイボーイ(集英社)に「ユニクロ9990円ジーンズを解剖する」という記事が掲載された。
プレイボーイの記事は政治も経済もあまり信用していないのだが、ファッションの記事も同じだ。今回の記事は大筋ではその通りなのだが、細部や業界分析は首をかしげたくなる個所が多かった。

まず、ユニクロ9990円ジーンズを全店に入荷しているかのような書き方があった。これは間違いで、9990円ジーンズは大型店にしか入荷していない。大阪の例で言えば、新今宮のフェスティバルゲート店やなんばシティ店には入荷しておらず、グローバル旗艦店の心斎橋店にしか入荷していない。「+J」とほぼ同様の扱いである。ちなみにもっと言えば、ユニクロが何シーズンも前から先行販売している5990円ジーンズ、7990円ジーンズも同様に大型店のみの展開である。

記事中に「この冬は9990円を穿いた人が町中に溢れるかもしれない」とあるが、大型店のみの入荷では全国に溢れようがない。「+J」を着た人が全国に溢れていないのと同じ理屈だ。

この記事にはエドウイン、リーバイスを持ち上げたい意思があるのか、「市場売上金額でエドウインやリーバイスを筆頭とした7000円以上のジーンズが65%を占めており、ユニクロはそこを狙って9990円ジーンズを発売したにちがいない」とある。
しかし、エドウインもリーバイスも、とくに決算発表しているリーバイ・ストラウス・ジャパン社は顕著に売り上げが見えるのだが、売り上げ規模を減らしており「筆頭とする」とは言えない状況に陥っている。
しかもユニクロは何年も前からメイドインジャパンジーンズ5990円・7990円を発売している。今さら9990円で騒ぎ立てることがあるのか疑問だ。

さらに9990円の洗い加工について触れられており、
「完全な量産使用で、シワやシミなどもどれもほぼ同じ位置にあり、市場に多く着用者が増えるとユニバレの危険性がある」というが、それならエドウインやリーバイスのジーンズも同じである。
彼らとて1つの品番を何十万本も生産する。洗い加工のシワやシミの位置も厳格に決められており、ほぼどれもが同じ位置になるように指導が徹底されている。何もユニクロ9990円ジーンズに限ったことではない。

洗い加工が手作業によるため、少しずつ位置や濃度が異なるというのは、もっと生産本数の少ないブランド、もしくはオーダーメイドに近いブランドにしか当てはまらない。

さらにいえば「ユニクロの高額ジーンズにはカイハラ製のデニムが使われており」とあるのだが、今秋のユニクロジーンズは3990円にもジャパンファブリック、カイハラ製と謳われており、3990円もカイハラ製デニムである。

プレイボーイ編集部はこれらの事実を知らずに記事を組み立てたのではないのか?まったく事実誤認も良いところである。しかもこのライターはあまり衣料品業界に詳しくないようにも見える。


一つだけ参考になるなら、9990円ジーンズを物理的に解剖した結果、
股の部分の縫い方が簡略化されているそうである。この部分の分析は評価したい。ただ、「股の部分から裂ける可能性がある」という指摘には疑問だ。股が裂けるほど穿きこむには普通の生活スタイルでは相当な年数が必要であり、裂けてしまったらそれは寿命なのではないだろうか。

とにかくいつもプレイボーイの記事には疑問が多い。

9月度は苦戦。各社客数が減少

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 ユニクロの9月売上速報が発表され、大きな話題となっている。
9月の既存店売上高は前年比24・7%減
既存店客数は同14・9%減
既存店客単価は同11・6%減

と大幅前年割れに終わった。

マックハウスの9月度は
既存店売上高が前年比17・3%減
既存店客数は同11・3%減
既存店客単価は6・7%減

ポイントの9月度は
既存店売上高が前年比13・0%減
既存店客数が同11・6%減
既存店客単価が同1・5%減

ハニーズの9月度は
既存店売上高が前年比17・7%減
既存店客数が同21・3%減
既存店客単価が同4・5%増

しまむらの9月度は
既存店売上高が前年比9・9%減

だった。

各社ともに苦戦の原因として9月の記録的猛暑を挙げており、
連日35度を越えたことから秋物が売れなかった。
さらに言えば、各社とも客数を大きく減らしており「暑過ぎて、秋物の服を買う気にもならない」とばかりに店に足を運ぶ消費者が少なかったことが伺える。
正直に言って、自分も8月末から9月23日まで何も服を買う気が起こらなかった。暑いので夏物を買いたいが、着られる時期の少なさを考えると夏物も欲しくない。かといって暑いので秋物は着たくない。暑さをがまんするくらいなら、お洒落などしたくない。
おそらく多くの消費者も同じような気持ちだったのではないだろうか。

9月23日から全国的に猛暑がおさまり、ようやく秋の気配が感じられるので、10月からは秋物が動きそうだ。ただ、この9月の不振を受けて、OEM業者や生産業者に「難癖」を付けて返品受け入れを迫るアパレル、ショップが数多くあるという。
これでは生産業者は浮かばれない。手近なところに損を押し付ける体質を、アパレル、小売店ともそろそろ卒業してはどうか?

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